【『人の踊る時は踊れ』】

長生きの人が多い地域と言えば、沖縄県がすぐ浮かんでくる。今年9月に発表された人口10万人当たりの100 歳以上の人の数で見ても、確かに沖縄県は36年連続トップで61.03人。最も少ない埼玉県の14.22人と比べる と、その圧倒的な長寿ぶりが分かる。

その秘密は恐らく、気候や食生活、それに加えて、畑仕事が1年中できることによる適度な労働量など、人体に とって好条件な環境にあると思われる。そして近頃では、もう1つのライフスタイルが注目されている。

2001年に世界保健機関(WHO)が公表した「第1回沖縄国際長寿会議」の報告では、沖縄の人は友人が多く、芸 能が好きで、性格は明るく高齢者を敬う風潮が強いことに注目している。さらに興味深いのは、沖縄県は日本で唯 一鉄道がなく、住民はよく歩く。それに、運動と休養のバランスがほどよいとも指摘していることである。

親族や友人が集まれば、三線(さんしん)の音に合わせて、皆が立ち上がって踊り出す。近所の人たちが食材を持ち寄って料理を作り、談笑しながら食事をする。現代人はストレスの発散が苦手だが、長寿の沖縄の人に倣い、「談笑」「会食」「郷土芸能」「祭り」といった、古い風習を見直してみてはどうだろうか。

夫婦間でもストレスは禁物だ。愛媛県総合保健協会の医師による60〜84歳の男女3100人を対象とした調査で は、定年退職して家でプラブラしている夫と同居する妻は、死亡リスクが2倍も高いことが分かった。妻に依存す るばかりでなく、時には夫婦2人で、人の集まる輪の中に入っていくことも必要なようだ。

[出典:日経ビジネス、2008/11/03号、志賀 貢=医学博士]

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