【「はらすまダイエット」で腹スマートに】

日立グループでは、この春導入された特定健康診査・特定保健指導を受けて、メタポリックシンドローム(内臓脂肪症候群)撃退を掲げた内臓脂肪減量プログラム「はらすまダイエツト」を展開している。“腹スマート”とかけた分かりやすいネーミングだが、生活習慣の見直しと行動変容の促進を目的とする「Hitachi Associates Life Style Modificatlon & Action(HALSMA)」の略でもある。

日立グループの産業医としてメタボ対策に取り組む日立製作所日立健康管理センタの中川徹氏は、「はらすまダ イエツトのポイントは、@現在の体重の5%を90日間かけて落とす、A1日50〜100gの減量を目標にする、Bそ のために体重は100gまで分かる体重計で朝晩2回量る、C量った体重とその日の行動を毎日記録しておく、D体 重が増えた時には原因を探る手助けにもなる“言い訳”を記入する、E各自が無理なく実行できる方法を頑張らず に、でもあきらめずに行う、F目標達成時に“自分へのご褒美”を決めておくことの7つ」と話す。

例えば体重80kgの人では、90日間で4kgの減量が目標となる。1日当たりの減量目標は44.4g、カロリー減目 標は311キロカロリー(kcal)と試算される。これに基づき、「ご飯を1杯だけ減らす」「1日30分多く歩く」といっ た、100kcalの目安となる食べ物や運動が書かれた「100kcalカード」の中から、無理なく実行できる減 量メニューを選択。「スーツを新調する」など目標達成時のご褒美を決め、プログラムを開始する。

パソコンや携帯電話などから朝晩の体重と減量メニュー実施の有無、会食があったなどその日の行動を入力する と、体重変化のグラフとともに一覧となって表示される。この記録を基に10日に1度、保健師らが電子メールや 面談を通じてアドバイスを行う仕組みだ。「減量目標と方法を自分自身で決めること、変化や成果を目で見て確認 できること、定期的にアドバイスや励ましがもらえることで、モチベーションが維持される」(中川氏)。

実際に、健診でメタボと診断された30〜40代の男性社員104人中53人が実施したところ、90日後には32人がメタボ から脱却した。参加者からは「日々の体重変化を見るのが楽しみだった」「目標や減量メニューが明確だった」などの声 が多く開かれたという。

一方、当初のシステムでは、保健師らが複数の該当者に個別指導を行う難しさや作業負担の大きさなどが課題と なっていた。そこで、ウェプサーバーでデータを一括管理する遠隔指導支援システムを開発。10日日の指導対象 者や減量が順調にいかず支援の必要性が高い人などを自動的に抽出する機能のほか、自動作成されたメールの文面 を基に適宜指導内容を編集する機能などを搭載した。同社では自社での拡大実施とともに研究を進め、早期実用化 を目指す考えだ。

[出典:日経ビジネス、2008/10/27号、田村知子=フリーランスエディター]

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