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【緑茶1日5杯以上で長生き】

健康や生活習慣病の予防を考えるうえで、1日何本のたばこを何年吸い続 けてきたか、食生活はどうだったか、など環境の履歴を知ることは重要だ。

年齢や居住地域を限定して一定の条件に合う集団を対象に、生活習慣を調 べるのが「コホート研究」。例えば、福岡県久山町で行われている研究では、 脳卒中に関わる日本人の疫学データが集められ、治療に生かされてきた。

東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の栗山進一准教授は、宮城県 の大崎地方に住む40〜79歳の4万530人を対象にコホート研究を実施し た。緑茶を1日5杯以上飲む人は、1杯未満の人より男性で12%、女性では 23%死亡リスクが低下。疾病ごとでは循環器病で最も強い相関が認められ、 特に脳梗塞で緑茶5杯以上のグループが死亡リスクを減らしたという。

この理由について栗山さんは、緑茶がアデイポネクチンなど動脈硬化の発 症・進展に関わる部分に効力を発揮した可能性があると指摘している。緑茶 は日本人にはなじみ深い。緑茶に含まれるポリフェノールの一種、カテキン が健康に貢献すると言われ、手軽な健康飲料として注目されている。

ただし、喫煙習慣があると緑茶を飲んでも血中のカテキン濃度が上昇しな いため、喫煙者が5杯以上緑茶を飲んでも効果は相殺されてしまう。喫煙本 数にもよるが、喫煙者が緑茶を5杯以上飲んだ状態は、非喫煙者が緑茶を全 く飲まない状態と同じと言える。

私たちを取り巻く環境は相互に関連し合い、生活習慣病の発症や予防に影 響を与えている。

[出典:日経ビジネス、2008/09/22号、田野井 正雄=医学ジャーナリスト]

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