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【『ベルトの穴が増えると寿命が縮む』】

ベルトの穴が1つ増えると寿命が縮まる――これは、米国生まれの格言だ。 つまり、ベルトの穴が足りなくなるほど太ってくると、命にまで危険が及ぶ という戒めである。

この格言は、以前の日本ではあまり気にする人は多くなかった。むしろ、 「恰幅がいい」という表現があるくらい、少し太った男性の方が好ましい印 象を与えたものだった。

しかし、今では日本でも肥満は大問題。メタポリックシンドローム(内臓 脂肪症候群)、いわゆるメタボが生活習慣病の発生に拍車をかけることが明 らかになってからというもの、その予防に国を挙げて取り組んでいる。

このメタボの恐ろしさの1つは、ガンとの因果関係である。厚生労働省が 2005年9月に発表したデータによると、肥満男性はそうでない人に比べて、 1.4倍大腸ガンにかかる確率が高いことが分かった。その一因として考えら れるのは、肥満になると、膵臓のランゲルハンス島からのインスリンの分泌 が高まって、ガン細胞が増殖しやすい環境ができるということらしい。

厚労省が今年4月に発表した「2006年国民健康・栄養調査」では、メタボ 該当者はその予備軍も含めると、約1940万人と准走され、40〜74歳の男 性の2人に1人、同女性の5人に1人がいずれかの可能性があると判明した。

米国では肥満は本人の問題だけではなく、「自己管理ができない者は社会 生活も失格」という烙印を押され、解雇や転職の条件になることもあると か。日本社会でも対岸の火事とはいかない時代が来ているようだ。

[出典:日経ビジネス、2008/09/08号、志賀 貢=医学博士]

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