【目の病気、気づかぬ敵は紫外線】

週末に子供の野球教室でコーチをしているKさん(42歳)。
最近、視力が落ちてきたと感じ、眼科を受診したところ、初期の 翼状片と診断された。

翼状片とは、白目を構成する結膜とその下にあるテノン嚢と言わ れる部分が異常増殖し、黒目である角膜の上まで伸びてしまう日の病気だ。

翼状片になる要因は、遺伝的素因、挨、ウイルス感染などがあるが、主に は太陽光(紫外線)を長期間浴びることによって起こる。その症状は、鼻側 から日の中央方向に広がってくる場合が多い。サングラスを装着して前方からの紫外線をカットした場合でも、耳 側から差し込む紫外線や鼻に反射した光が鼻側に多く集まるためだ。

30歳未満で見られることは少なく、紫外線照射期間が長い高齢者に多く見 られる。さらに、都市部より山間部や海岸近くの地域に住む人で、太陽光が 出ている昼間に屋外で働く土木作業員や海面からり反射光を多く浴びる漁 師、サーフィンを趣味に持つ人たちに多く発症すると言われている。

主な症状としては、まず目の充血と乾燥、ゴロゴロとした異物感を感じる。 眼精疲労からくる肩こりや頭痛の原因になることもある。次に、角膜の歪み から乱視になり、最後に視力の低下が見られる。

治療方法としては、点眼などの薬物療法は無効であり、症状の進行状況を 見ながら、角膜に侵入した翼状片の摘出手術を行うのが主となっている。

ただ、単純な摘出だけでは術後数カ月以内の再発率が30%以上と高く、 以前よりもひどい状態になることもあり、それを予防するための処置が重要 とされる。最近は翼状片切部に正常な自分の結膜を移植する方法が行われる ようになっており、再発率は低くなっているものの、それでも5〜10%程度 の再発はある。

今回のKさんのように、日中炎天下でスポーツの練習や試合をする人にと って、熱中症対策などへの知識はあっても、目の紫外線対策までは注意を払 う人は少ない。まず、どんな時に目は紫外線を浴びているのかについての知 識を持つことが重要だ。

夏季だけでなく、春先から秋にかけては、太陽高度の低い朝夕の方が、直 射する紫外線が目に入りやすい。そのため紫外線の強い午前10時から午後 2時までだけでなく、朝夕にも十分な注意が必要だ。日陰や木陰にいても目 は紫外線を浴びており、オフィス街ではビルの壁面や路面から目に入る反射 紫外線も少なくない。

翼状片は、正しい紫外線対策で予防できる病気。有効な対策として、ツバ が7cm以上の帽子、W(紫外線)カットを施したサングラスや眼鏡、コンタ クトレンズが有効で、特にそれらを併用すると、日に入る紫外線が95%以 上カットできる。ライフスタイルによって自分に合った紫外線対策をすると よいだろう。

視力は生活の中でも特に重要な役割を担う機能だ。異変を感じたら早めに 眼科を訪れてほしい。
(談話まとめ:江本 園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2008/09/08号、佐々木 洋=金沢医科大学(石川県内灘町〉 感覚機能病態学(眼科学)教授]

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