【道場合宿で生活習慣を見直す】

メタポリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善には、運動不 足や偏った食生活といった、生活習慣の根本的な見直しが必須だ。しかし、 日々の仕事に追われていては、そんな時間を作るのも難しい。

口腔ケア用品などを製造・販売するサンスターでは、昨 年9月から健康診断でメタボと診断された社員を対象に、 「サンスター心身健康道場」(大阪府高槻市)での合宿を実 施している。

心身健康道場は、1985年に開設された健康保険組合所 有の福利厚生施設。健康を維持・増進するための生活習慣 を学び体験する、健康作りのための研修所だ。“招待状”が 届いた社員は、業務を離れて2泊3日の合宿生活を送りながら、メタボに至 った生活習慣と対時する。

合宿では、様々なプログラムが用意されている。心身健康道場の永田剛道 場長は、「いくらメタボの改善を訴えても、本人の自覚がなければ意味がな い。いかに気づきを与え、やる気を引き出すかに重点を置いたプログラムを 組んでいる」と話す。

健康講座ではまず、自身の体質や生活習慣の自己認識を促す。例えば、健 康習慣に関する18項目のチェックリストに答えると、健康にいい習慣と悪 い習慣とに色分けされるだけでなく、将来発症が予測される病気も提示され る。こうした客観的なデータや健診結果などを踏まえながら、改善策や目標 を考えていく。「ここでも『エレベーターは使わない』といった漠然としたも のではなく、『3階までは階段を使う』など、無理なく確実に実践できること を決めていく」(永田氏)という。

体を使うプログラムでは、3km程度の早朝散歩に、姿勢を改善する整体 運動やプールでの水中運動のほか、約6kmを歩くウォーキングや、座禅も 体験。また、日本人に適した食事や健康によい食習慣など、「食」に関するレ クチヤーも設けている。それを体現する合宿中の食事は、朝は青汁、昼・夜 は1食600キロカロリー以下の玄米菜食。成人1日当たりの摂取カロリーを 約半分に抑えることで、体内に蓄積された余分なエネルギーを排除し、新陳 代謝を高めるという。とはいえ、ボリュームもあり、彩りも工夫されている ため、貧弱な印象はない。

昨年は対象者185人のうち、123人が合宿に参加した。サンスター中部支店に勤務す る山下卓男氏(52歳)は、「メタボ克服には食事と運動がカ ギ。特に食事に関してのレクチヤーを通して、その重要性 を再認識できた。合宿で学んだことを家族にも伝え、まず は食生活から変えていきたい」と話す。山下氏は合宿中 に2.6kgの減量に成功した。

昨年の参加者では45%に改善が見られたといい、永田氏は「今後は合宿 後のフォロー体制を整え、メタボ予備軍にも対象を広げていきたい」と話す。 職場に戻れば元の生活に戻ってしまう恐れもあるが、体験者の健康に対する意識は確実に変化しているようだ。

[出典:日経ビジネス、2008/09/01号、田村 知子=フリーランスエディター]

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