【お笑いブーム】

若手芸人の一発ギャグが人気を集めている。筑波大学の村上和雄名誉教授 によれば、笑いには知覚、感情、知性レベルの3段階があるという。

笑いと健康についての研究で、最も有名なのは米国のノーマン・カズンズ 氏が1976年に発表した論文だろう。彼はこの論文をきっかけに、米カリフ ォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の医学部教授になった。

カズンズ氏は硬直性脊推炎という難病にかかった時、ストレスフルな生活 環境が病気に関係しているのではないかとの仮説の下、毎日喜劇を見たりユ ーモア本を読んで脳に心地よい刺激を与えた。その結果、当時、ほとんど治 る見込みのなかった難病を克服した。

現在、笑いと健康で特に研究が進んでいる分野の1つは、免疫系との関係。 例えば、受験生は腫瘍免疫に重要な役割を果たすナチュラルキラー細胞の活 性が低下するが、リラックスすると上昇することなどが分かっている。

笑いは免疫系を活性化して病気に強い体を作ることがほぼ分かってきた が、健康に貢献するのは知性レベルの笑い。お笑いブームの中心になってい る一発ギャグは知覚レベルの笑いである。知性レベルの笑いは、落語のオチ などを開いて「なるほど」と納得し、知性が充足された時に、自然発生的に 生まれるという。

一発ギャグに笑い転げるだけでなく、たまには寄席で落語を開けば、免 疫系によい影響が出るに違いない。もっとも、この影響は一過性と考えられ ているから、生活の中に笑いが起こる環境を作ることが必要かもしれない。

[出典:日経ビジネス、2008/08/25号、田野井 正雄=医学ジャーナリスト]

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