【湿布を張ったら日光に要注意】

晴天の日、ゴルフをしたSさん(52歳)。
ふと気づくと、親指のつけ板が真っ赤に腫れてかゆくてたまらない。 数日前、そこに湿布を張っていたが、何か関連があるのだろうか。

Sさんの症状は、湿布をはがしてから数日経つことと、日光に当 たった後に症状が出ていることを考え合わせると、「光接触皮膚炎」の可能性 が高そうだ。

光接触皮膚炎とは、身の回りにある何らかの化学物質が皮膚に触れて炎症 が起こる接触皮膚炎の1つ。日光に含まれる紫外線と皮膚に残った薬の成分 が化学反応を起こし、それに体の免疫系が反応してしまうために生じること が多い。

様々な薬によって光接触皮膚炎は起こるが、日光に当たる場所に何気なく 使用しがちなので注意しておきたいのが、筋肉痛などの炎症を抑える働きの ある非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)という種類の薬だ。

例えば、ケトプロフェン(モーラステープほか)やピロキシカム(フェル デン軟膏ほか)は、光接触皮膚炎を起こしやすいことが知られている。これ らの成分は、市販の湿布にも含まれているので、要注意だ。

光接触皮膚炎自体は、症状の出た部分を遮光し、日焼け止めや抗炎症薬を 使えば、普通は2〜3週間でよくなることが多い。ただし、長期にわたり皮 膚にシミが残る場合もある。もし首や手など、日光に当たりやすい場所に湿 布を張るのであれば、成分を確かめてから購入するのも手だろう。

飲み薬でも同じような症状が見られることがあるが、外用薬では一般的に、 ローションや軟膏を塗ったり湿布を張ったりした場所と同じところに、強い かゆみを伴う赤い斑点や水膨れができる。このため、比較的原因を突き止め やすい。ただし、長期間湿布を張っていた場合など、薬が血液中から別の場 所に移行し、張っていた場所以外に症状が出ることもある。

さらに、湿布をはがした後も油断は禁物だ。湿布を張っている間は「日光 になるべく当たらないように」「日焼け止めを使うように」といった注意事 項を守っていても、はがすと「もう大う丈夫だろう」と思いがち。だが、実は 薬の成分は、約2〜3カ月にわたり皮膚にとどまっている。

また、湿布をはがした後の方が、湿布で覆われていた間よりも皮膚に直接 当たる日光の量は多いことも覚えておきたい。湿布をはがした後数カ月は、 強い日光に当たったり、日焼けサロンに行ったりしないよう、十分に注意し てほしい。

副作用の集計調査では、5〜8月にかけて、紫外線量の増加と一致して、 光接触皮膚炎が増える傾向にあった。日が長くなることに加え、薄着になっ たり腕まくりをするなど、皮膚の露出が増えることも光接触皮膚炎が増加す る要因だろう。

これからの季節、気づかないうちに光接触皮膚炎を起こす可能性は決して 低くない。薬でかぶれたことがない人も、ぜひ念頭に置いてほしい。
(談話まとめ:小又理恵子=日経メディカル別冊)

[出典:日経ビジネス、2008/04/28・05/05号、上出良一=東京慈恵会医料大学附属第三病院 (東京都狛江市)皮膚科教授]

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