【ホメオパシー】
ホメオパシーは、病気になった人の自然治癒カに働きかける治療法であ
る。ホメオパシーの薬は「レメデイー」と呼ばれ、原料は植物のほか、天然の
鉱物、動物をベースにしたものもある。ヒ素のように毒性の強いものも含まれ
ているが、物質の化学的性質を持った最小単位である分子が存在しなくなる
ほど希釈と振とうを繰り返すので、毒性はないという。
レメデイーの作り方は、原料を細かくすり潰し、水に溶かし、溶けないも
のは粉末にして、アルコールと蒸留水の溶液に入れて100倍に希釈する。
100倍希釈を30回線り返し、希釈の各段階で100〜200回振とうさせる。こ
こまでやると物質は存在しないも同然になるので、ホメオパシーの作用メカ
ニズムは解明されていないが、希釈と振とうを繰り返すことによってレメデ
イーの効力は高まるとされる。
「そんなものが効くのかね」といぶかる向きもあるだろうが、日本統合医
療学会編『統合医療一基礎と臨床−』によれば、ホメオパシーに関して108
の論文を検討したところ、81の論文で有効性が報告されていたという。
ホメオパシーは対症療法ではなく、自然治癒カを刺激して全体のバランス
を取り戻し回復させる治療のため、専門家による問診は、症状や精神状態、
性格などまで多岐にわたる。
欧米などでは医薬品扱いのレメデイー。サプリメントのように安易に手を
出さないのが懸命だろう。ホメオパシーを詳しく知りたい人には、日本ホ
メオパシー医学会のホームページ(http://www.jpsh.org/)が参考にな
る。
[出典:日経ビジネス、2008/04/21号、田野井正雄=医学ジャーナリスト]
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