【肝硬変 新薬実験に成功】

「札幌医大、動物で効果確認──原因細胞にだけ作用」

根本的な治療が難しい肝硬変について、札幌医科大(第4内科)の 新津洋司郎(にいつようしろう)教授らのチームが新薬の動物実験に成功した。 米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(4月号)に発表する。年内にも臨床 試験を始め、肝硬変を完治させる薬をめざす。

肝硬変は肝臓全体が線維化して硬くなり、肝機能が衰える病 気。国内では、肝がんと肝硬変で年に4万人を超える人が死亡 する。肝臓で脂質やビタミンAを蓄える星細胞が、コラーゲン をたくさんつくるようになることで起こると考えられている。

新津さんらは、ココラーゲンの生成に欠かせないたんばく質 「HSP47」を抑える物質を合成。これが星細胞だけに届くよ う工夫した「薬」をつくり、肝硬変を起こすように仕向けたネ ズミ72匹で効果を実験した。

「薬」を注射されなれったネズミは、4週間ほどで肝硬変にな って40日ほどでほとんど死んだ。だが、肝硬変ができてから 「薬」で治療されたネズミはすべてが70日たっても生き延びた。 慢性の肝硬変の状態にしたネズミの実験でも効果があった。

肝臓を調べると、「薬」が星細胞を死なせ、肝組織がほば元 の状態に戻っていた。新津さんは「単に肝硬変が治ったという だけでなく、肝組織を再生させる幹細胞の働きも活発になった と考えられる。星細胞がかかわる肺や心臓、腎臓、麒麟の線維 症など、他の病気の治療にも利用できそうだ」という。

HSP47を86年に発見した京都大再生医科学研究所の永田和 宏教授は「肝硬変をはじめ線維化疾患の有効な治原法はまだ開 発されていない。今回、画期的な方法論で肝臓で効果が確かめら れた。根本的な治療法として、大いに期待できる」と話している。

[出典:朝日新聞、2008/03/31]

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