【結石は夜作られる】

尿管結石の発作を起こして病院に運ばれたSさん(45歳)。
痛み止めを処方され、水分を多く取るよう指導されたが、 再発が怖くてたまらない。

ある日突然、背中や脇腹に激痛が走り、あまりの痛みに話すこと すらできなくなる。声を絞り出して苦しむ姿を家族が発見、救急車で病院に 運ばれた──これは尿管結石の典型例である。

結石は、尿中の成分が腎臓で結晶化して大きくなったものだ。この結石が 腎臓から降りて尿管に詰まると、尿が排泄できなくなり、腎臓全体が腫れて 痛みが生じる。その痛みは激烈なことで知られ、大の大人が脂汗をかきなが らうずくまり、気を失うほどである。働き盛りの30〜60代の男性に多く、 食生活の欧米化によって年々増え続けている。男性の7人に1人が一生の間 に1度はかかる疾患だ。

結石が非常に大きい場合や、症状がなかなか改善しない場合には、ESWL (体外衝撃波結石破砕術)という治療で結石を破砕するが、基本的には、痛 み止めを服用して、水を多めに飲みながら、結石が排泄されるのを待つ。結 石は1カ月ほどで尿と一緒に排泄されることが多い。

患者は「あんな痛みは二度と経験したくない」と口を揃えるが、残念なが ら約半数が再発し、何度も繰り返すケースも少なくない。

結石の形成には食事の影響が大きいので、再発予防にはカルシウムを多め に摂取し、シュウ酸を多く含むホウレン草やチョコレートなどは控えるよう 指導することが多い。だが、それ以上に重要なのが、夕食の量と時間である。 結石関連物質の尿中排泄量は、1日のどの時間帯でも同じわけではなく、食 事によって大きく変動するからだ。

私の調査では、わが国の結石患者の食生活は、栄養素の半分近くを夕食で 摂取する「夕食中心型」の患者が多く、特に、夕食で動物性たんばく質を多量 に摂取する患者が多い。もともと夜間は、発汗による水分喪失や、就寝によ る不動によって、1日のうちで最も結石ができやすい時間帯である。そのう え夕食をたくさん食べると、就寝中の尿にカルシウムなどの結石形成物質が 多量に排泄されるため、結石がよりできやすくなると考えられている。

さらに調査では、夕食から就寝までの時間が短いほど、結石ができやすい 状態になることも明らかになっている。食事の影響による尿中排泄物質の 増加は、食後2〜4時間でピークに達し、その後徐々に減少していく。その ため、夕食の時間と就寝時間の間隔が短いと、睡眠中の尿に結石形成物質が 多くなってしまうのだ。

わが国のサラリーマンは、残業を終えて帰宅後に食事を取ることが多い。 しかし、私に言わせれば、これは結石を作るために食事をしているようなも の。まずは、朝食・昼食をしっかり食べ、夕食を控えめにするよう心がけて ほしい。そして、就寝の少なくとも2時間、できれば4時間前までには、夕 食を終えるようにしたいものである。
   (談話まとめ:富田文=日経メディカル)

[出典:日経ビジネス、2008/03/31号、井口正典=市立貝塚病院(大阪府貝塚市)院長]

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