【C型肝炎の検査は必要?】

C型肝炎の訴訟に関するニュースを見たAさん(50歳)。
昔、交通事故の経験があるうえ、最近、体が妙にだるい。 肝炎の検査が必要だろうか。

C型肝炎はウイルス性の病気の一種で、血液を介して感染する。 日本では150万人から200万人の患者がいると言われている。発症すると、 その多くは慢性肝炎となって肝臓の働きが悪くなり、30年近くかけて肝硬 変へと進行していく。約半数は肝ガンに至る。
しかも、軽度の肝炎の状態では自覚症状は何もなく、仮に感じても全身の 倦怠感や尿の色が変わる程度。通常の会社での健康診断では肝炎ウイルスへ の感染の有無を調べることもないため、気づかぬうちに慢性肝炎となり、 さらには肝硬変に進行してしまうケースも少なくない。
C型肝炎の治療は、ペグインターフェロンとリバビリンという薬を併用し て投与する方法が登場してから、劇的にその成績がよくなった。だが、それ でも完全にウイルスがなくなるのは、よく治るタイプの肝炎で約8割。治ら ないタイプでは半数程度にすぎない。
また、治療は早く開始すればするはど効果が高く、一度肝ガンにまで進行 すると、肝移植を行っても再発してしまうなど、治療効果は極めて低くなる。 早期に気づきにくく、同時に早期治療が重要な病気だからこそ、正しい知識 と対応が重要となってくるのだ。
もっとも、C型肝炎は現在では、原因となるウイルスが特定されており、 感染対策も進んでいる。そのため、医療関係者など血液を扱う職業以外では 新たに感染する可能性は低い。
問題は1992年以前、ウイルスの検査法が確立していない時代に輸血を受 けたり、治療に際して血液製剤を使っていた場合だ。これらにウイルスが混 入していたとしたら、C型肝炎に感染している可能性は高い。そのため、92 年以前に交通事故や大きな手術、女性ではそれに加えて出産を経験している 場合、C型肝炎の感染の有無について検査をしてみるべきだ。
上記の通り、現在は普通の生活をしていれば感染の可能性は低いため、一 度検査を行って陰性ならば、2度目以降の検査は必要ないだろう。
ただし透析を行っている場合には、感染対策が不十分な施設もあり、現在 も針などを介して感染する可能性がある。現実的に院内の感染対策が十分か どうかを見分ける方法はないため、透析を行っている場合には、1年に1度 程度は肝炎ウイルスへの感染の有無を確認しておいた方がよい。
仮に、身近に感染者がいたとしても、過度な心配は無用だ。C型肝炎の場合、 普通に感染者に触れたり、一緒に入浴したり、食事の際に同じ皿を共有した りするだけでは感染しないのはもちろんのこと、性交渉でもまず感染しない。 感染者の血液が傷口に入り込むことで感染するため、カミソリや歯ブラシな どを共有しないようにだけ注意すればよいだろう。
(談話まとめ:山崎大作=日経ドラッグインフォメーション)

[出典:日経ビジネス、2008/02/25号、泉 並木=武蔵野赤十字病院消化器科部長]

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