【首にも起こる、リウマチの痛み】

以前から「関節リウマチ」と診断されていたWさん(42歳)は、 最近、頭痛がひどくなってきた。
なかなかよくならない関節リウマチと何か関係があるのだろうか。

関節リウマチといえば、手の指をはじめとする関節のこわばりや 痛み、変形などがよく知られている。こうした手の指や手首などの関節の痛 みは、免疫機能に異常が生じて、自分の関節の「滑膜」という、関節の動き をスムーズにする関節液を作る薄い膜が炎症を起こし、自分の関節を攻撃し てしまうことが発端だ。
炎症を起こした滑膜が、骨と骨の間でクッションのような役割を果たして いる軟骨や骨を壊していき、最終的には、関節が変形してしまう。そのため、 関節の曲げ伸ばしがしにくくなり、歩いたり、物をつかんだり、食事をする といった、日常生活を送るうえで欠かせない動作も困難になってくる。
ここで注意しておきたいのは、どの部位の関節であっても、腫れや痛み、 変形が生じ得るということだ。意外に思われるかもしれないが、脊椎の骨が 変形してしまうこともある。Wさんの頭痛は、非常に気になる症状だ。
首の頚椎の滑膜に炎症が起こり、周りの靭帯が伸びるなどの損傷を来す と、首の骨がグラグラと不安定な状態になる。頭痛は、首の骨のずれによっ て、後頭部の神経が圧迫されて生じている可能性がある。脊髄の圧迫によっ て生じる手足のしびれや脱力感、息苦しさといった症状があれば、さらに深 刻だ。
関節リウマチに伴うほかの症状によって、首の状態が悪化する恐れもある。 例えば、肘の関節に痛みがあって曲げにくい場合、食事を取る際は口元まで 手が届かないため、首を前に突き出す格好になる。起きる時も、肘の曲げ伸 ばしによってうまく体を支えられない場合、つい上半身だけで反動をつけて 起き上がりがちだ。こうした、痛みのある関節をかばう動きが、さらに首の 骨に負担をかけてしまう。
関節リウマチは、発症してすぐの間は、手を握ったり開いたりしにくいと いった関節のこわばりや腫れ、痛みがあっても、外から日で確認できる関節 の変形は見られない。しかし、油断は禁物だ。最近の研究によって、関節の 破壊は発症から2年ほどの間に急速に進行することが分かってきている。
Wさんが専門医にかかり、きちんと薬を服用していればいいのだが、「薬 が効かない気がする」「副作用が怖い」といった理由で放置していないか、心 配だ。
関節リウマチの治療薬としてはこれまで、免疫機能の異常を抑える薬と、 痛みや腫れを抑える薬が使われている。そこへ、5年ほど前から相次いで、 関節破壊そのものの進行を防ぐ注射薬が登場し、治療方法も多彩になってき ている。
もし、Wさんに現在の治療薬が合っていなかったり、効果が不十分であれ ば、別の薬に切り替えるという選択肢もある。ぜひ痛みを我慢せず、早めに 医師に相談してみてほしい。
(談話まとめ:小又理恵子=日経メディカル別冊)

[出典:日経ビジネス、2008/02/08号、西田圭一郎=岡山大学大学院医歯薬学総合 研究料人体構成学分野准教授]

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