【『年を取ったら鍋料理』】

長寿県で知られる沖縄には、「クスイムン」という料理にちなんだ言葉が ある。「この食べ物はクスイムンだからさあ」というように使うようだ。こ れは、「この料理は薬だから食べなさい」という意味である。医食同源を示 す言葉でもあるわけだが、食べ物を薬に変える最も手っ取り早い方法といえ ば、まず「鍋料理」が思い浮かぶ。
年を取ってくると、料理に手間をかけるのも負担になってくるものだ。特 に、子供が成長して夫婦2人の食事になると、とかく簡単に夕食を済ませて しまいがちになる。しかし、それでは忍び寄る生活習慣病を予防するために 大切な働きをする免疫力は保てない。
厚生労働省では、健康維持のために多様な食品をバランスよく食べるよう 勧めている。そのためにも、具だくさんの鍋料理は、理にかないそうだ。 沖縄では本州の人に比べて、栄養価の高い食材の摂取量が多いと言われてい る。豆腐が1.9倍、豚肉が1.3倍、緑黄色野菜が1.4倍、干しシイタケが 1.8倍、昆布が1.5倍という調査報告もある。長寿の秘密は、このあたりに もあるのかもしれない。これらの食材を鍋料理の具材にするのもお勧めだ。
もう1つ、鍋料理には健康維持に役立つ効果がある。それは、熱湯にくぐ らせることで、具材に含まれる脂肪やコレステロールを減らせること。つま り、生活習慣病の元凶と言われる余分な成分を取り除き、食材の有効な成分 を頻取することができるのだ。
まさに鍋料理は、中高年の強い味方になる料理である。もちろん、若い人 たちにも大いに食べてもらいたい。

[出典:日経ビジネス、2008/02/11号、志賀貫=医学博士]

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