【脱毛は今や治療する時代?】

髪が細くなってきて、分け目の薄さが気になり出したNさん(40歳)。
最近、テレビや雑誌広告で見かける"AGA"の治療法を試してみたいが、 効果や費用はどうなのだろうか。

最近、テレビCMや雑誌などでよく日にするようになったAGA とは、Andorogenetic Alopeciaの略で、「男性型脱毛症」を意味する。
成人男性によく見られる、思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どち らか一方、または親方から薄くなる状態を指す。日本には1260万人以上い ると言われており、自己免疫異常によって起こるとされる円形脱毛症や心困 性による抜毛症、女性なども合わせると、かなりの人が毛髪で悩んでいる。
これら脱毛症の原因には、一般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが考え られているが、ストレス、食生活、生活習慣なども影響しているため、一言 で説明できない場合も多い。個々人によって違う脱毛症の原因は、医学的な .検査を行うことでおおよそ解明でき、治療法の選択の指標となる。
2005年から日本でも処方され始めた世界初の経口男性型脱毛症剤「フイ ナステリド(商品名プロペシア)」の出現で、治療法の幅が広がった。この薬 は、脱毛症の原因の1つである男性ホルモンを活性化する酵素に直接働きか けることで効果が期待できる。万有製薬によれば、米国での臨床実験では、 現状維持42%を含む90%の人に効果があったという。これはプラセボ(偽 薬)群で75%の人が脱毛し続けていたことからも証明されている。
当クリニックでは1999年からフイナステリドを処方しているが、2003 年に新規来院された患者さんは男女合わせて1260人。2007年には2500人が治療を受けて、 効果も明らかになっている。ただ、満足度は個人によって違うため、客観的なデータとしては示し にくい。
また、市販薬としても知られる「ミノキシジル」配合の塗り薬も併せて処 方している。同時に患者さんの家庭環境や仕事などの話を伺いストレスの要 因を把握し、メンタルケアも行う。日常生活では栄養バランスの取れた食事 や快眠を心がける。頭皮を洗いすぎたり滞れたまま放置するのは、雑菌繁殖 の原因となるので注意したい。
気になる診察料だが、保険通用外なので、初診料や検査費を含めて、初診 時にかかる費用は1万5000円程度。月に1回の診察と処方薬(30日分)で、約 3万円の治療費がかかる。頭部の写真を撮影し、頭皮や発毛の状態を記録し ながら、効果を確認しつつ治療方法を変えていく。そのため、最低でも6カ 月は治療を続けてもらいたい。
体質によって、効果の出やすい人とそうでない人がいる。また、効果が表 れても途中で治療をやめてしまうと、治療前の状態に少しずつ後退してい く。まずは、事前に担当医と治療の進め方を話し合うことが大切だ。
最近では50〜60代の男性が口コミで来院するケースが多い。治療の成果 を自慢し合いながら、前向きに取り組む姿を見るのはうれしい限りだ。
(談話まとめ:江木園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2008/02/11号、小林一広=医療法人社団城西クリニック 院長]

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