【働き盛りに多い痛風】

管理職となり、何かとストレスが増えたEさん(48歳)。
ある日、足の親指のつけ根に骨折したかのような痛みが走り、 1週間、歩行も困難なほどだった。

ある日突然、足の親指のつけ根が赤く腫れ上がり、歩くのもまま ならないほどの激痛に襲われる。これは、痛風の代表的な症状だ。
現在、患者数は60万人と言われる痛風。その原因は、体内のプリン体な どからできる老廃物である尿酸で、通常は毎日産生され、ほとんどが腎臓か ら尿へ排泄されている。しかし、何らかの異常でうまく排泄されず増え過ぎ ると、やがて尿酸は足の関節に流れて蓄積し、結晶を作る。それを異物と認 識した体が排除しようと防御反応が起こり、炎症や激痛を起こすのだ。
正常な尿酸の血中温度は4.0〜7.Omg/デシリットルだが、健康診 断で血中濃度が7.Omg/デシリットルを超えると高尿酸血症(痛風予備軍) と診断され、痛風になる確率が高まる。
この病気は、30代後半から50代の男性の発症率が高く、日頃から飲酒量 が多い、肥満体質、過労や過度のストレスがある人などがかかりやすい傾向 にある。しかし、遺伝的要因も強いので、家族や親戚に痛風経験者がいる場 合は、特に注意した方がいい。
症状としては、足の親指のつけ根に出ることが一番多く、患者全体の約 40%。くるぶし、アキレス腱、かかと、ひざ、手に出ることもある。その痛み は骨折と間違えるほどの激しさで、痛みのピークには自宅から出られず、仕 事をすることが困難になる人も多い。
治療には、整形外科や内科、痛風専門外来に通うのが一般的だ。消炎鎮痛 薬で痛みを取り除いた後、尿酸降下薬を服用し、2〜3カ月かけて尿酸値を 正常範囲へ戻す。薬で尿酸値が下がっても、関節に付着した結晶は簡単には 消えないので、尿酸値が安定するまでは薬の服用を続け、2〜3カ月に1回 外来診察を受けることが望ましい。
日常生活では、適度な有酸素運動と栄養バランスのよい食事を心がけ、塩 分の取り過ぎに注意する。そのほか、 魚の干物、レバーなどの内臓、イカ、エビ、ラーメンスープなどプリン体を 多く含む食品を多量に取らないことが重要だ。アルコール類は尿酸値を上げ る作用があるので、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合と、適量を維持し たい。「つい飲み過ぎた…」という翌日は、2リットル程度の水を飲んで尿か らの尿酸排泄を促す。また、尿をアルカリ化しておくために、野菜、海藻類 などを多く取るといいだろう。
痛風は、痛みが引いたり尿酸値が下がると、治療をやめてしまう人が少な くない。だが、これは一過性の回復で、尿酸結晶を完全に排除しないと必ず再 発する。再発を繰り返せば、痛みが長引いたり、発作の出る場所が複数にな ったりと悪化する傾向があるうえ、関節が変形したり、尿管結石や腎臓病、 脳梗塞などの重い合併症を引き起こす可能性も高い。一度かかったら、1〜 2年かけてじっくり治すというスタンスで病気と向き合うことが肝心だ。
(談話まとめ=内藤綾子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2008/02/04号、大山博司=両国東口クリニック理事長 痛風専門外来担当]

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