【“血液サラサラ”と生活習慣】

取引先との話題作りのため、健康情報番組や雑誌をよく見る 営業マンのKさん(46歳)。
よく見開きする“血液サラサラ”とは、実際にはどういうことなのだろう。

健康に関する話題として、メディアや日常会話などでも、“血液 サラサラという言葉が盛んに使われる。これは血液の粘ちゅう度を表す言葉 である。
粘ちゅう度が高くなる−−つまり、血液がドロドロになる仕組みには、その成 分や性質が関係している。
人間の血液は、全身を休むことなく駆け巡っている。その量は体重のおよ そ8%程度あり、血液の成分は液体成分である血漿と、細胞成分である血球 とに分けることができる。
血球は血液の容積の約40%を占めており、赤血球、白血球、血小板で成 り立っている。血漿はおよそ90%が水分で、残りはたんばく質などのエネ ルギー源となるものである。どちらも“血液サラサラに関係しているが、ど ちらかというと、血球の方が関わりが深い。
赤血球は、血球の中で最も数が多い。直径約8マイクロメートル(=μm、マイ クロは100万分の1)、厚さ約2μmの円盤のような形をしていて、変形能(形 を変える能力)が高い。白血球は、形や性質の違う顆粒球、リンパ球から成 り立っていて、赤血球より形が大きい。血小板は凝集能(凝集する力)があり、 止血に関わる。
赤血球や白血球は、形を変えたり重なり合いながら、自分の大きさよりも 細い5〜6μmの毛細血管を通過していく。ところが、何らかの原因で赤血 球の壁が硬くなり、変形能が低下したり、白血球の粘着能(粘着する力)や 血小板の凝集能が高まったりすることで、“サラサラ血液”は流れの悪い“ド ロドロ血液”になる。このため、毛細血管を通過しにくいうえに血栓ができ やすく、脳梗塞などのリスクが高まるのだ。
原因はいろいろ考えられるが、食生活とストレス、ライフスタイルの影響 が3大要素だ。
食事はできるだけ規則正しく、栄養バランスも考慮する。野菜や食物繊維 の多い食材などを多く取り、肉類など動物性脂肪や飲酒などは控えめにす る。また、禁煙や運動不足の解消を心がけ、睡眠を十分に取る。そして、ス トレスを上手に発散する。このように、“ドロドロ血液”対策は、ごく当たり前 のことなのである。
定期的な健診によって、コレステロール値、中性脂肪、血糖値、血圧など を確認し、できるだけ正常に保つ努力が必要だ。HDLコレステロールは、 血管壁に付着しているコレステロールをはがして、肝臓に戻す、いわゆる善 玉コレステロール。運動によって増えてくる。
悪玉のLDLコレステロールを下げる食べ物としては、EPA(エイコサペ ンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含むイワシやサバ、サン マといった青魚や、ポリフェノールを含む赤ワインなどが有効だ。
(談話まとめ:杉元順子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2008/01/14号、亀谷学=川崎市立多摩病院 院長]

参考:
粘ちゅう度のちゅうは、禾(のぎへん)に周と書きます。

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