【重症になりやすい低温やけど】

新年会から帰宅後、電気カーペットをつけたまま寝てしまったJさん(49歳)。
朝起きると、枕にしていた腕や肩がとリヒリしたため、病院へ行くと 「低温やけど」と言われた。

やけどと一口に言っても、ガス爆発で負うような重症のものか ら、家庭でてんぷら油が跳びはねたり、熱いお茶をこぼしてかかってしまった ようなものまで様々ある。
やけどの症状の違いは、「熱源の温度×接触時間」で決まる。炎の場合は、 温度は高いが壊触時間が短いので浅い熱傷が多く、低温やけどは、温度は低 いが接触時間が極端に長いために、皮膚下の組織を破壊するほどの影響が出 ることが多い。
やけどT度(表皮熱傷)は、表皮のみとリヒリして赤くなる。一時的な色素 沈着はあってもすぐに良くなる。浅いT度(真皮浅層熱傷)は強く痛んで赤 くなり、24時間以内に水痘ができる。治った後に色素沈着するが、半年くら いで消失する。深いU度(真皮深層熱傷)は潰瘍を形成し、治った後に傷跡 が残る。部位にもよるが植皮手術が必要だ。V度(皮下熱傷)は黒色のかさ ぶたを形成し、神経がダメージを受けるため、組織が破壊される。そのため 知覚がなくなり、痛みを感じない。植皮手術が必要で、完治するには入院し て2〜3カ月かかる。
低温やけどは、衝撃的な熱さでないため、そのまま長時間、同じ部位に重 力(圧力)をかけてしまうことで起こる。思ったよりも症状が悪化している ケースが多い。ある研究結果によると、圧迫が加わると、37.8度程度でも24 時間以上で浅いU度に、41.9度では3時間で深いU度に達し、47.9度の熱 源に30分間接触すると、V度に達するという。
さて、Jさんのように帰宅してから、電気カーペットに横になってそのまま 寝てしまう人も多いだろう。電気カーペット以外にも、湯たんぽや使い捨て カイロ、温水洗浄便座の温水や温風でも事故に遭ったケースがあるので注意 したい。
特に低温やけどは、症状や痛みに気づかず病院に行くまでに時間がかか り、治療が遅れる場合がある。怖いのは、組織まで破壊されて、皮膚や細胞 が壊死してしまうことだ。
低温やけどが皮膚深部まで達してしまった場合、まずは部位をきれいに洗 浄し、壊死した組織の除去(デブリードマン)を行う。その傷口に薬を塗っ て皮膚の上皮化(再生)を促す。傷の大きさや形にもよるが、縫合したり、 別の部位(主にお尻や太もも)の皮膚を薄く採って植皮する場合もある。
やけどを負ったら、すぐに流水で30分以上冷やし、専門医の診察を受 けるのが最良である。アロエを塗ったりする民間療法は、人によって皮膚感 染を起こしたりする場合があるので勧められない。
あまり熱くないからといって、長時間同じ位置に重力がかかるような姿勢 はやめ、痛みなどの自覚症状がなくても、おかしいと感じたら、専門医を受 診するようにしたい。
(談話まとめ:江木園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2008/01/07号、飯島正文=昭和大学病院 病院長 昭和大学医学部皮膚科教授]

戻る