【インフルエンザに備える】

昨年、子供からインフルエンザをうつされ、仕事に支障を来した Kさん(42歳)。 今年はそうならないために家族で予防したいと思っている。

今年もインフルエンザの流行期が近づいた。インフルエンザとは インフルエンザウイルスを病原とする、上気道感染症を言う。よく、インフル エンザ菌が病原と誤解されるが、原因は細菌とは異なるウイルスだ。
現在、流行するタイプには、A香港型、Aソ連型、B型の3種類がある。 例年、発症の中心は14歳以下の子供が70%以上を占めるが、Kさんのよう に子供から家族、学校や職場へと広がっていくことが多く、年間約1000万 人以上が発病している。
インフルエンザの症状の特徴は、感染後1〜3日間の潜伏期間を経て、突 然高熱が出ること。また、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状のほか、 咳や鼻水などの上気道炎の症状が表れる。一般的には約1週間で回復に向か うが、怖いのは合併症だ。高齢者では細菌性肺炎、小児では中耳炎や熱性痙 攣、気管支喘息、まれに急性脳症を誘発する可能性もある。
インフルエンザにかかった可能性が高いと思われる場合は、できるだけ早 く医療機関で診てもらうことだ。鼻水やのどの粘膜を採取して抗原検査を行 う迅速診断が可能であれば、20〜30分程度で診断がつく。
解熱剤は医師の指示で服用し、自己判断での安易な使用は避けることが重 要だ。特に子供の場合、解熱剤の中にライ症候群、インフルエンザ脳症など 重篤な合餅症につながる可能性が示唆されているものがある。15歳以下で インフルエンザにかかった時は、アスピリン(商品名バフアリン、サリチゾ、 EAC錠など)やジクロフェナクナトリウム(同ボルタレン)、メフェナム酸(同 ボンタール)の使用は避ける。
インフルエンザを特異的に予防する方法はワクチンしかない。現在使われ ているワクチンは、前述した3種類の型に対応する。接種から2週間ほどで 効果が表れ、約5カ月岡持続する。日本では12月下旬から3月中旬がイン フルエンザの流行期間となるため、12月上旬までには接種を済ませたい。た だし、ワクチンを接種したからといって、必ずしも安全というわけではない。 だが、少なくとも発症を抑え、重症化を予防するのには有効だ。
なお、発症後でも2日以内にタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ 薬を投与すると、症状の軽減や短縮化に効果がある。インフルエンザによる 異常行動は以前から報告されているが、タミフルとの因果関係はまだ明ら かにされていない。内服については、医師とよく相談すべきである。
インフルエンザにかかったら、会社へは行かずに安静にすること。無理に 出社すれば、かえって迷惑となるだろう。休む勇気、休ませる勇気が肝要だ。 また、電車内など狭い空間で、周囲にかまわず咳をまき散らすのも注意した い。被害者は即、加害者となることを心してほしい。
(談話まとめ:杉元順子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2007/11/12号、安井良則=国立感染症研究所感染症情報センター 主任研究官・医師]

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