【立ち仕事の足に潜む病気】

監督のため、現場に立つ横会が 多くなったAさん(50歳)。
最近、片足がだるく、つることもある。 慣れない立ち仕事による筋肉痛と 思っていたが、なかなか改善しない。

なんとなく片方の足がだるい、夜や明け方につる、むくむ、ある いは重く感じるなどの症状があり、その足をよく見ると血管がこぶのように 膨らんで蛇行している−そのような場合、下肢静脈瘤という病気を疑っ てほしい。
下肢静脈瘤とは、足の皮膚近くの静脈にある弁が機能しなくなって血液が 下から上へと流れなくなり、結果として血管が拡張して詰まってしまう病気 だ。長期間放置しておくと湿疹が出たり、さらには皮膚がもろくなって潰瘍 を引き起こすこともある。
出産が誘因の1つのため、患者の約7割は女性だが、男性でも外科医や理 容師、調理師など、長時間立って仕事をする人に発症する。10人に1人程度 が発症すると考えられており、決して珍しい病気ではない。
診断は患部を目で見たり、触ったりするだけでできる。そのうえで治療法 を決める際には超音波検査などを行う。血管外科や皮膚科の医師が担当す るのが一般的だが、外科や心臓外科などで担当する場合もあり、どの診療科 で受診しても問題はない。ただし、日頃足を診ない医師が診察した場合は見 逃されるケースもあるため、事前に電話をしてみて、「下肢静脈瘤を扱って いるかどうか」を確認し、受診すべき診療科の回答があった医療機関を訪れ てほしい。
下肢静脆癖の治療法には、@医療用ストッキングをはいて血管を圧迫し、 血流を改善する、A硬化薬を血管に注射し、血管の血流を止める、B血管を 手術で抜いてしまう、Cレーザーで血管を焼いて血液が流れないようにす る、の4種類がある。
再発を完全に抑えるならば、血管を物理的に抜去してしまう方法が確実 だ。ほかの治療法は、血管が体内に残っており、再発しないとは言い切れな いためである。下肢静脈瘡の際に詰まるのは皮膚に近い血管だ。筋肉の中に 太い血管があるので、抜去後しばらくあざは残るものの、障害が発生するこ とはない。
ただ、血管を抜去する手術では、通常3〜4日入院する必要がある。また、 現在普及している手術法では、太ももとひざの裏の2カ所に傷をつける必要 があるため、美容上もほかの治療法と比較して難が残る。
いずれにしても、下肢静脈瘤はすぐに症状が進行する疾患ではない。4000 円程度で購入できる医療用ストッキングを着用すれば、病気の進行を抑える ことも可能だ。仕事や家庭の都合のよい時に医師と相談して、自分に合った 治療法を選択したい。
医療用ストッキングは、下肢静脈瘤の進行を防ぐだけでなく、予防にも有 効だ。長時間の立ち仕事に従事している場合は、仕事中はストッキングをは くよう心がけたい。私も手術中には常にストッキングを着用している。
(談話まとめ:山崎大作=日経メディカル)

[出典:日経ビジネス、2007/11/05号、新見正則=帝京大学医学部 外料准教授]

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