【EDに対する誤解】

全世界ではおよそ1億9000万人、日本では30〜79歳の男性の約1130万人 の有病者がいると言われているのが「ED」、日本語では勃起不全である。
EDについての日本人の大きな誤解は、ストレスが原因で起こり、それが 解消すれば治ると思われていることだ。しかし、実際に心理的要因が原因 となるのは全体の1割程度。EDは高血圧や高脂血症、糖尿病など、動脈硬 化を進行させ血管内皮を侵す病気が原因となることが多い。つまり、EDは 慢性病の1つである。
米イーライ・りリーの調査によれば、米国、英国などでは6割の男性が 自分のEDの原因は慢性疾患の合併症の1つであると考えているのに対し て、日本人男性は6割以上が、原因をストレスと考える傾向にあるという。 さらに、EDを医師に相談したことがあるのは、有病者の5%に過ぎない。
もし、健康診断をろくに受けない読者の中にEDを危惧する人がいたら、 EDをきっかけに高血圧や糖尿病などいわゆる生活習慣病を発見できるかも しれない。年やストレスのせいなどと高をくくっていると、生活習慣病が進 行して、ある日突然、心臓病や脳卒中の発作を起こさないとも限らない。
ちなみにEDは、「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分 な勃起が維持できずに満足な性交が行えない状態」と定義されている。よっ て、「挿入できる」「自慰はできる」からEDではないと考えるのは間違いであ る。ポイントは、パートナーに対しても自分に対しても、「満足な性交がで きるかできないか」なのだ。

[出典:日経ビジネス、2007/10/29号、田野井正雄=医学ジャーナリスト]

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