【「今度こそ禁煙!」なら病院へ】

会社の移転に伴い、オフィスが全室禁煙になった。
Mさん(47歳)は、これを機会にたばこをやめようと思ったところ、 同僚から禁煙外来を勧められた。

喫煙が健康を害すると言われて久し。以前は、禁煙の成功は個 人の意志の強弱で決まり、禁煙できない人は、意志の弱い人と見なされる傾 向にあった。しかし、その人の固い決意とは裏腹に、ニコチン依存症のため に喫煙をやめたいのにやめられない状況があることが分かってきた。
たばこの依存性には2種類ある。目覚めの1本が吸いたくなったり、イラ イラするなど体内のニコチンが欠乏してくると起こる症状を身体的依存(ニ コチン依存)と言い、仕事が終わってほっとした時や、手持ち無沙汰などの 時に吸いたくなる精神的依存(習慣)だ。この2つの依存を取り除くことが できれば、禁煙は成功できる。
最近では、以下の@〜Cのすべてを満たすことで、禁煙治療に健康保険の 適用が認められるようになった。医師の診断の下、ニコチン成分入りのバッ チ剤などが、3割の自己負担で購入できる。@直ちに禁煙しようと考えてい ること、Aニコチン依存症のスクリーニングテスト(参照http:〃www. i-clinic−orl.jp/category/1174006.html)が5点以上であること、Hブリ ンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙している年数)が200以上であること、 C禁煙治療を受けることを文書により同意していること。
診察期間は3カ月で計5回。初診時は問診や治療法の説明、ニコチン依存度 や禁煙への関心度がチェックされ、吐き出す息の中に含まれる一酸化炭素濃 度の測定、禁煙開始日の決定と「禁煙誓約書」へのサインを行う。そして、次 回診察日を決めた後に、禁煙補助薬が処方される。時間にして30〜40分程 度だ。以降は2週、4週、8週、12週後に15分程度の診察を受ける。治療にかか る全費用は、3割負担の診察料に薬の処方費(個人差による)を合わせて、1 万3000円強が平均的だ。
禁煙を始めて体内からニコチン成分が出てしまう3〜7日日が、いわゆる 離脱症状が起こる最も辛い時期とされている。この時期に喫煙者が多くいる 飲み会などに参加するのは、できれば避ける。アルコールが入って気が大き くなり、つい「1本くらいはいいだろう」と誘惑に負けてしまうからだ。
禁煙を成功させるには、喫煙と結びついている行動パターンを変えたり、 たばこの代わりにガムを噛むなど代替品を利用したり、禁煙宣言をして周り の協力を得るのも手だろう。
正しい禁煙のゴールとしては、たばこを吸いたいのを我慢するのではな く、吸うことに対して無関心になれるのが望ましい。また、仮に禁煙外来を 受診して禁煙が成功しなかった場合、初診日から数えて1年以上が経過しな いと、次の受診では保険適用とならないので注意してほしい。
喫煙は“百害あって一利なし”ということを肝に銘じ、多くの人が禁煙に 取り組むことをお勧めしたい。
(談話まとめ:江木園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2007/10/29号、小林健彦=虎ノ門アイ・クリニック・禁煙外来 院長]

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