【原因不明の疲労感】

最近疲れがひどいSさん(48歳)。今朝は布団から起き上がれず、 ついに仕事を休んでしまった。会社の健康診断では、 特に異常はなかったのだが…。

慢性疲労は、糖尿病や肝炎、ガン、鬱病などほかの病気が原 因のこともあるので、まずは医師の診察を受けて、検査をすべきだろう。一 方で、検査などでは原因を特定するのが難しい慢性疲労も少なくない。異常 が見つからないのに、疲れて仕事を休んだりするので、周囲からは“怠け病” だと誤解されてしまうこともあり、つらい思いをしている患者は多い。
その原因の1つとして考えられるのは、慢性疲労症候群という病気だ。こ れは、1988年に米国で正式に認められた、比較的新しい病気である。疲労 のために、仕事を休んだり、家事ができなかったり、布団から起き上がれな くなることもある。
主な症状は、日常生活を妨げるほどの疲労感が6カ月以上続くこと。また 微熱やのどの痛み、リンパ節の腫れ、筋肉痛、頭痛、思考力の低下などを伴 うこともある。発症の原因はまだ分かっていないが、何らかのウイルスと免 疫異常などが関係しているのではないかと考えられている。
治療法は確立されていないものの、ビタミンCの多量投与や食事療法、マ ツサージやストレッチなどに効果があるようだ。
線維筋痛症という病気もまた、全身に激しい痛みが生じるとともに、不眠 や激しい疲労感などを伴う。普通の検査ではなかなか見つけることができな いうえに、今のところ特効薬もない。
明らかな治療法が見つからない慢性疲労を和らげる第一歩としては、睡眠 の質に目を向けることが大切だ。ストレスや過去のつらい経験など、眠りに 影響する要素はいろいろある。時間的には十分でも、眠りが浅く、途中で何 度も起きてしまうなど、よい睡眠が確保されていないかもしれない。
そこで、適度な運動をしたり、ゆっくり入浴する、また習慣性のない軽い 睡眠薬を処方してもらうなど、自分に合った解決法を探すとよい。なお、慢 性疲労症候群の場合には、運動が症状を悪化させる可能性もあるので、医師 と相談したうえで決めてほしい。
慢性疲労の原因は多く、症状も特定しないことが少なくない。医師だけに 頼っていても、自分に合った治療法が見つからず、本人や家族が疎外感を味 わってしまうこともある。また、早く仕事に復帰したいという、プレッシャ ーもあるだろう。そのため、同じような症状を持つ人が集まって、支援グル ープを作り、情報交換をしたり、気軽に相談し合ったりする場を設けること は、精神的なサポートとしてとても大切だ。
このほか、その日の行動、食べたもの、体調や気分、疲労の度合い、睡眠 の質などを書き留めておくとよい。半年くらいすると、どんな出来事がスト レスや疲れの引き金になっているかなど、慢性疲労の原因のヒントが浮き彫 りになるかもしれない。
(談話まとめ:當麻あづさ=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2007/10/15号、キャロル・バック=テユーテユーズハウス(米国ハワイ)慢性疲労支援グループ代表]

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