【風邪・インフルエンザの予防に】

秋はイチョウの葉が美しく色づく季節だ。子供の頃、イチョウの実を拾い 集めた思い出を持つ人も多いだろう。イチョウには雄株と雌株があり、実を つけるのは雌株である。孫の代になってようやく実が食べられるようになる ことから、漢字で「公孫樹」と書くこともある。
熟したイチョウの実は独特の臭みを放つが、これは外皮(外種皮)の特性だ。 食用となる「ギンナン(銀杏)」とは、外種皮を取り除き、内種皮に包まれた種 子を乾燥させたものである。ギンナンは「自果(はくか)」とも呼ばれ、古くから薬とし ても用いられてきた。特に、内種皮を取り除いた実は「自果仁」と呼ばれ、 咳や気管支喘息を鎮めたり、夜尿症や頻尿を改善すると言われている。
ギンナンには、体内でビタミンAに変換するカロテンが多く含まれてい る。ビタミンAには鼻やのどなどの粘膜を強化する働きがあるので、風邪や インフルエンザといった感染症の予防に有効だ。また、体内の余分な塩分の 排出を促すカリウムも豊富なため、高血圧の予防にも効果がある。
ただし、ギンナンを食べ過ぎると、4-O-メチルピリドキシン(MPN)とい う物質が原因で、痙撃や嘔吐などの中毒症状を起こす恐れがある。成人の場 合、1日10粒以下にとどめておきたい。乳幼児では死亡に至るケースもあるた め、食べさせないのが賢明だろう。
これからの時期、ギンナンを酒の肴にする人が多いが、その際はレバーと の食べ合わせがお勧めだ。レバーに多く含まれる亜鉛が、ギンナンのカロテ ンの働きをさらに高めてくれる。

[出典:日経ビジネス、2007/10/01号、白鳥早奈英=栄養学博士]

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