【中高年からの喘息対策】

風邪をこじらせ、感冒薬を飲んでいたYさん(43歳)。 だが、なかなか咳が止まらず、病院で診察を受けたところ、 喘息と診断された。

喘息の原因は、大別すると2つに分類される。ダニなどのアレル ゲン(アレルギーを引き起こす原因となる物質)によるものと、アレルゲン が不明のものだ。
 アレルゲンが原因の喘息は、アトビ一型とも呼ばれている。肉眼では見え ない人のフケを食べるダニや花粉、犬や猫などのペットのフケが気管支に入 ったことによるアレルギー炎症が原因とされる。子供の喘息に多いのはこの タイプで、成人するまでに約5割の人が治る。
一方、アレルゲンの不明なものは非アトピー型と呼ばれているが、気道の 炎症は同様である。どちらのタイプにおいても、誘因はたばこの煙、大気汚 染、ストレスや不規則な生活などが挙げられる。30〜50歳の問に喘息を発 症する人が多いのも、それらが関与しているかもしれない。
また、Yさんのように風邪をきっかけとして発症してしまうケースもかな りある。例えば、風邪が治ったと思った後で、慢性の咳が2週間以上続くよ うなら、咳喘息の可能性が考えられる。一度、医療機関で診察を受けた方がよ いだろう。
さらに、自分自身が喫煙者か、職場や自宅に喫煙者がいる場合は、喘息や COPD(慢性閉塞性肺疾患)、または両方を併発しているケースがある。診 察の前に医師に申告しておくと、診断の手助けとなる。
日常生活の注意としては、まずは誘発要因を遠ざけることだ。ダニは高温 多湿を好むので、6月から10月くらいの問は、特に注意が必要だ。過に1度 は布団にも掃除機をかけ、ペットは部屋では飼わないなどの配慮がいる。夏 場は、蚊取り線香や花火の煙にも注意したい。前述したように、喫煙はご法 度だ。過度の飲酒も控えるのが賢明だろう。
喘息治療の基本である薬物治療には、吸入ステロイド薬と抗アレルギー 薬(ロイコトリエン受容体括抗薬)、気管支拡張薬などがある。それぞれの用 途ごとに使い分けるが、吸入ステロイド薬が抗炎症薬として最も重要だ。
最近では、気管支拡張薬で体に張るテープ型が開発された。この薬剤は皮 膚から成分をゆっくりと吸収するもので、1日1回の貼付で済む。忙しいビ ジネスパーソンにはもちろん、咳が激しく吸入がつらい患者さんや、幼児な どにも使いやすくなっている。しかし、あくまで吸入ステロイド薬と併用する ことを忘れないでほしい。
喘息は発作の間隔がまちまちなので、勝手に治ったと思い込み、薬の服 用をやめてしまう患者さんも少なくない。だが、自己判断は危険である。科 学の進歩で新薬が登場したとしても、風邪やストレスが引き金となって、病 気が繰り返されることもある。医師の指示によく従い、病気とうまくつき合 うことが肝要だ。
(談話まとめ:江木園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2007/07/20号、足立満=昭和大学医学部第一内科 主任教授]

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