【ダイエット中に適した肉】
羊肉は、日本の一般家庭にはあまり馴染みがない。一方、英国の王室料理
やフランス料理など、欧米では価値ある食材として親しまれてきた。羊肉に
はラムとマトンがあるが、ラムは生後約1年未満の子羊の肉、マトンは生後
約1年以上の成羊の肉を指す。肉質がまだラムに近い生後約2年未満のマト
ンをホゲットと呼ぶこともある。
ここ数年、北海道の郷土料理「ジンギスカン」が人気を集めている。ブー
ムとなったきっかけの1つは、羊肉の健康効果に注目が集まったことだ。羊
肉は、ビタミンB群やミネラルのほか、人間が体内で作ることのできない8つ
の必須アミノ酸をバランスよく含んでいる。さらに、そのうちの2つの必須
アミノ酸から作られる「カルニテン」には、体の基礎代謝を上げ、細胞内の
脂肪燃焼を促進する働きがある。「羊肉はダイエットに有効」と言われるゆ
えんは、このカルニチンにある。
羊肉のカルニチン含有量は、牛肉や豚肉の3〜10倍と言われている。カル
ニチンは、羊肉の中でも赤身の多いもも肉などに豊富だ。また、羊肉はほか
の肉に比べて、脂肪融点(脂肪が溶け始める温度)が高い。つまり、人間の
体内で吸収されにくいことも、ダイエットに適していると言える。
カルニテンが代謝することによって作られるアセチルカルニテンにも注目
したい。脳細胞の再生に欠かせない物質で、近年は認知症の予防に効果があ
ると考えられている。
羊肉のカルニテンは池との食べ合わせで吸収率が高まる。池を敷いて妙め
たソテーにするのがお勧めだ。
[出典:日経ビジネス、2007/07/30号、白鳥早奈英=栄養学博士]
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