【「ペクチン」が生活習慣病を予防】
7月の半ばを過ぎ、梅雨が明けると、モモが最もおいしい時期を迎える。モ
モはバラ科に属する果物で、原産地は中国だ。日本に伝来した時期は定かで
はないが、「古事記」には既にモモについての記述がある。古くには花桃(観
賞用のモモ)が好まれており、現在の食用の栽培が本格的に行われるように
なったのは、明治時代に入ってからのことである。以来、改良が重ねられ、
多くの品種が生まれている。
モモを大別すると、果肉が白く柔らかい「自肉種」と、黄色く硬い「黄肉種」
とに分けられる。主に生で食される自肉種には、白桃や白鳳など、缶詰など
の加工品として用いられる黄肉種には、黄金桃やネクタリンなどがある。
モモの栄養価で注目したいのが、食物繊維のペクチンだ。ペクチンには腸
内環境を整える作用があるほか、コレステロールの吸収を抑制する働きがあ
る。さらに、食後の血糖の上昇を緩やかにし、インスリンの働きを活発にす
るため、糖尿病を予防する効果が期待できる。そのほか、高血圧を予防する
カリウムや、疲労回復に有効なクエン酸なども含まれている。
モモには、乳酸菌を多く含むヨーグルトとの食べ合わせがお勧めだ。モモ
のペクチンとの相乗効果で、腸内の善玉菌を増殖させる。また、夏の土用と
言えばウナギだが、江戸時代には「モモの薬湯」に入る慣習があった。モモ
の葉には消炎・解熱作用のあるタンニンなどが豊富なため、生の葉を煮出し
たり、乾燥させて湯船に入れれば、あせもや湿疹、日焼けといった、夏の肌
トラブルを改善する。
[出典:日経ビジネス、2007/07/02号、白鳥早奈英=栄養学博士]
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