【身近になった近視矯正手術】

老眼が進み、近視用と老眼用の眼鏡を携帯しているAさん(55歳)。 近視の矯正手術を受けると、近視用の眼鏡は必要なくなると 聞いたが、リスクはないのだろうか。

近視矯正の手術として、「LASIK(レーシック)」はすっかり市民 権を得た感がある。レーシックとは、目の角膜を削ってその下の組織に特殊 なレーザーを照射し、近視や乱視を治す治療法だ。
治療にかかる時間は両目で15分ほどで、費用は10万円から50万円程度。 この治療法により、実に9割以上の患者について、視力を1.0以上まで回復 させることができる。
コンタクトレンズを使っている人の中で、花粉症で一定の時期は使えない、 コンピューターを使う作業が多くて目が乾きやすい、ゴルフなどの運動の際 に落ち着かないといった場合は、レーシックの手術を受けることで、トラブ ルを回避できる。老眼が始まっている場合には、老眼鏡と近視用の眼鏡をか け替える必要もなくなる。
レーシックは技術的にも既に成熟している。以前問題となっていた、眼科 専門医以外が手術を行うこともほとんどなくなった。術後すぐに目をこする ことで、削った後に戻した角膜がずれてしまうことがごく稀にあるが、それ も再手術によってフォロー可能だ。術後、再び視力が下がってしまうことも 含めて、5〜10%程度で再手術を検討することになるが、失明することはま ずない。
視力が安定しない17歳以下では手術は勧められないが、手術の年齢に上 限はない。眼鏡やコンタクトレンズを煩わしく感じているならば、レーシッ クを試すいいタイミングと言えよう。

レーシックを行う医療機関については、眼科専門医が手術を行っていれば、 まず失敗することはない。ただし、価格が安いという安易な理由だけで選ん でしまうと、再手術になった場合にコストがかかるなど、いざという時に問 題となる可能性がある。術前のカウンセリングがしっかりしており、手術を する医師の話をきちんと聞ける医療機関を選びたい。
とはいえ、すべての人にレーシックを推奨できるわけではない。約2割の 人は、角膜の厚さが十分でないため、削ることができない。緑内障や重度の 糖尿病の際も、手術は不可能である。また、白内障がある場合は、白内障の 治療と併せて視力の調整もできるため、レーシック自体が不要となる。
もう1つ問題となるのが、老眼に対する考え方だ。かつては「レーシック によって老眼が進む」と言われていたこともあった。だが、そのようなこと がないことは、私たちの調査で明らかになっている。
ただし、老眼自体はレーシックでは治せない。そのため、レーシックを実 施した結果、それまで老眼が気にならなかった人が気になってしまうことは ある。ある程度以上の年齢で、現在老眼が気になっていない場合には、手術 をしない、あるいは片目だけ手術をするというのも1つの選択肢だ。
  (談話まとめ:山崎大作=日経メディカル)

[出典日経ビジネス、2007/06/18号、戸田郁子=南青山アイクリニック院長]

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