【「畑の薬」で健康増進】

ラッキョウは、カレーライスの薬味など、つけ合わせ用の食材と考えられ ている。しかし、ラッキョウの効能を知れば、料理に添えるだけの食べ方を 見直したくなるはずだ。
ラッキョウはユリ科の多年草で、平安時代に薬用植物として中国から伝来 した。現在でも「畑の薬」と呼ばれることがある。その名の通り様々な薬効 があるが、それは主にラッキョウの香りの成分である、硫化アリルによるも のだ。
硫化アリルはビタミンB1の吸収を助けて、エネルギー代謝を活発にしたり、 乳酸の分解を促進する。この作用により、疲労を回復させる効果が高い。ま た、血流を妨げる血栓を溶かすほか脳の働きを活発にしたり、発ガンを抑 制する効果も期待できると言われている。殺菌作用にも優れており、サルモ ネラ菌や病原性のカビにも効くので食中毒が心配される梅雨時には、積極 的に食卓に並べてほしい。
初夏に地中の鱗茎(球根)部を収穫して、漬物にするのが一般的な食べ方だ。 塩漬けにした後、酢に漬けて食べるのが手軽だが、醤油を使ってべっこう色 になるまで漬け込んで食べるのも美味である。
作り方は、ふっくらとしたラッキョウを塩漬けにして、晴天の日に日光に 当て、酢6対醤油4の割合で煮立てて冷ます。さらに砂糖を適宜加えて煮汁 に漬け込み、唐辛子を加える。1カ月ほどで食べ頃になるが、保存 食としても1年間は持つ。ビタミンB1を豊富に含む豚肉入りのカレーライス や、エンドウ豆などと一緒に食べるのがお勧めだ。

[出典:日経ビジネス、2007/06/04号、白鳥早奈英=栄養学博士]

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