【歯茎マッサージで健康に】

ある道人(中国の長生不死の術を得た人)は既に178歳であるにもかかわ らず、若々しかったという。彼は長生の法を聞かれると答えた。「毎朝唾液 を飲み、歯を噛み鳴らせば、顔に艶が出て若々しく、3虫(体内で害を及ぼす 想像上の3つの虫)を去らせ、歯を硬く髪を強くする」。これは1300年以上 も前にまとめられた中国の医学書「千金方」に出てくる記述だ。
実は、筆者もある女性歯科医からこんなことを教えられた。「表側の歯茎 の根元の部分を齦頬移行部(ぎんきょういこうぷ)と言います。 ここを1日に2回ほど指で優しく撫でると、歯茎の血行が良くなって、 抜歯が必要な重症の歯周病の患者さんでも、歯を抜かずに済み、歯が元気を 取り戻す例がたくさんあるのです」。
歯茎のマッサージを実践している彼女は、同時に信じられないほど若々し いことで評判だった。顔には1つもシワがなく、肌には張りがあって誰が見 ても30代にしか見えないのだが、実際は50歳を超えている。その驚くべ き若さを目にして、すぐに思い出したのが「千金方」のこの記述だった。
日本人は歯周病により中年以降に歯を失う人が多く、80歳になると自分 の歯を20本以上持っている人は、約21%しかいない。長寿の人は歯がしっ かりしているのはよく知られているが、最近では、歯周病が動脈硬化をは じめとする全身の病気と関係することが分かってきた。歯周病があると口の 中の細菌が全身に悪さをするらしい。
歯茎を守ることは全身の健康と大いに関係して、体を若々しく保つ。筆者 はまさにその見本と出会ったのだ。

[出典:日経ビジネス、2007/05/21号、堀田宗路=医学ジャーナリスト]

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