【気になるリンパ節の腫れ】

2〜3日前から、首筋に気になる腫れを見つけたKさん(51歳)。 このところ体調もあまり良くないし、もしかしたらガンではないかと 心配している。

リンパ管は、人間の免疫活動にとって、とても大切な役割を果た している。特にリンパ管の所々にあるリンパ節では、リンパ液中の細菌など の不純物を濾過する働きがある。
Kさんが気にしている首の回りで言えば、リンパ節は髪の毛の生え際や耳 の前と後ろ、首筋のあたりにたくさん集まっている。
風邪のウイルスや細菌が体内に入り込んだ場合には、リンパ節に白血球や リンパ球が集まり、細菌などと戦うために腫れが生じる。炎症が治まり、風 邪などの症状がなくなってからも、kakko“戦いの跡”としてリンパ節の腫れがしば らく残ってしまうことも少なくない。
腫れといっても、直径1cm未満ではまず心配はないので、ここでは1 cm以上の腫れについて考えよう。
リンパ節の腫れは、感染症と関連した良性のものであることがほとんど だ。最近1カ月以内に、インフルエンザや風邪、扁桃腺炎、中耳炎、虫歯な どにかかっていれば、まずそれが原因だと考えてよい。頭皮のできものなど、 皮膚の感染からくる場合もある。
花粉症などのアレルギーや、疲労がたまって免疫のバランスが崩れた時に も、腫れることがある。そのまま放っておけば、だんだん小さくなって、い つの間にかなくなってしまうだろう。
猫に引っかかれた場合にも、その近くのリンパ節が腫れることがある。こ れはパルトネラという細菌による感染なので、医師の診察を受けた方がいい。
また、主に10代後半の若い人に見られる伝染性単核症と呼ばれる感染症 では、インフルエンザのような症状と一緒に、リンパ節の腫れ、高熱が1〜 2週間続く。キスをすることでも伝染するので、俗に“キッシング・デイジー ズ”とも呼ばれている。米国の大学生では、発症率は10%余りにも及ぶとい う。
このように、リンパ節の腫れは、深刻な原因でない場合がほとんどだが、 稀に悪性の場合もある。結核、リンパ節ガンや、甲状腺のガン、口の中のガ ン、肺ガンなどが転移した可能性も、少ないがある。 1カ月以内の感染症に心当たりがなく、1週間様子を見ても小さくならず、 逆に腫れが徐々に大きくなっていくようであれば、医師の診察を受けた方が いいだろう。
医師は触診を行い、その硬さや触って動くかどうかなどを確認し、喫煙の 有無、家族の病歴、年齢なども問診して、良性か悪性かをある程度判断する。 悪性の疑いがあれば、超音波、CT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(磁 気共鳴画像装置)、細胞診などにより、適切な検査をすることになる。
仮に悪性であったとしても、早期に発見することで、治る可能性は大きく なる。目安の期間を過ぎても良くならない場合は、放っておかずに診察を受 けてほしい。
(談話まとめ:曹麻あづさ=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2007/05/21号、三木信幸=クワキニ・メディカル・センター(米国ホノルル)副院長]

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