【健康アウトソーシングで成功者に】

R氏(52歳)は、世界を股にかける国際弁護士である。何にでも好奇心を 抱く彼は、国際空港で当院の本を見て予防医学に興味を持ち、来院された。 本に共感したという理由だけで来られる方は珍しい。それだけ自分の体への 関心は並々ならぬものがあった。
R氏の会社で契約する人間ドックでは、常に不信感が残ったという。お酒 はほとんど飲まないのに、いつも肝機能が悪く、必ず医師から「アルコール は控えるように」と言われるからだ。飲んでいないと訴えても、「少し前に 飲んだものも数値に出ます」という答えのみで、体質と思って諦めていた。
当院のドックでは、肝機能障害について、ウイルスチェックやエコー検査 で徹底的に原因を探求した。すると内臓脂肪からくる脂肪肝と判明した。 それを聞いてR氏は驚いた。中肉中背で体脂肪率も15%と、肥満とは無縁 の人間が、肝臓に脂肪がたまっているとは夢にも思っていなかったのだ。
R氏の脂肪肝を改善するため、約3週間の食事内容と万歩計を用いて運動 量をチェックする。その結果から、R氏に無理なく内臓脂肪を落とす食事と 持久性の筋肉をつける運動を指導した。さらに血液、尿検査でR氏に必要 なビタミンやアミノ酸量も調べ、摂取してもらう。
以来、R氏からの希望で3カ月ごとに検査を行い、そのたびにデータは良 くなった。肝機能障害が原因不明の時には、不安感から仕事を制限したが、 今は安心して新しい仕事に取り組み、前にも増して各国を飛び回れるように なった。それは健康問題をアウトソーシングできたからとR氏は言う。
ある時、再検査で腫瘍マーカーが高く、大腸ガンの疑いが出た。すぐ注腸 と大腸内視鏡検査を受けてもらう。すると、大腸壁に小さなくぼみがイチゴ 状に多発する、黒皮症が見つかった。内視鏡検査を担当した大学病院のO 講師によると、アロエの取りすぎで見られる所見だという。
R氏は確かに、テレビの健康情報番組が体に良いとしていたアロエジュー スを、3カ月前から飲んでいた。それまでも、テレビで良いと言われる健康 食品に手を出していたという。以来、テレビ番組を鵜呑みにせず、健康食品 についても逐一専門医に相談した。
当院に来て4年経った時、以前から加入していた米国の生命保険が見直し となった。米国のエージェントが血液
検査や心電図などの医学的データを米 国に持ち帰り、独自に分析する。 1カ月後、結果を開いて、R氏は近年にないほど喜んだ。R氏の肉体年齢 は50代ではなく、明らかに30代だというのである。それは単なるお世辞で はなかった。今まで支払ってきた高額な保険費用が、半分になったのだ。
R氏はうれしさのあまり、50インチのハイビジョンテレビと最新式のDVD プレーヤーを当院のロビーにと贈ってくれた。こんな高価なものは申し訳な くて受け取れないと申し上げると、「保険費用が半分になったので、差し 上げた機器など安いものです。先生のおかげで30代の体になり、仕事もう まくいっているのですから、少しは恩返しさせてください」とのこと。その 心遣いに、R氏の成功の理由を見た気がした。

[出典:日経ビジネス、2007/04/30号、安岡博之=南赤坂クリニック院長]

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