【結石はビールの飲み過ぎにご用心】

人事異動で慣れない 職場に移ったSさん(36歳)。 突然脇腹に激痛が走り、 慌てて病院へ行くと、 「腎尿管結石ですね」と言われた。
腎尿管結石は、腎臓や尿管で尿中のカルシウムや尿酸などが結晶 化し、結石になる病気のこと。結石が腎臓から尿管、尿管から膀胱、膀胱か ら尿道に移動する時に詰まると、脇腹や背中、腰に激しい痛みが起こる。こ の痛みは発作的で、1日に数回繰り返されるケースが多い。また、いつも激 痛があるとは限らず、鈍痛や血尿が出る場合もある。
実は、腎尿管結石は20人に1人が発症するとも言われ、ポピュラーな病 気だ。しかも、汗ばむ季節は尿が濃くなり結石ができやすく、5月以降発症 する人が増える。
一方、発症には食生活も大きく関わる。特に“食の欧米化”で高脂肪、高た んばく質の食事が多くなるにつれて日本でも急増。過去25年で1.5倍に増 えている。
また、ストレスも発症の原因の1つ。ストレスにより分泌されるホルモンが 結石を作りやすくするからだ。このため、腎尿管結石はストレスにさらされ る30〜40代の中間管理職で発症しやすい。従来は男性の方が発症Lやすか ったが、近年の社会進出に伴い、女性の発症も増えている。
さらにこの病気は再発率の高いのが特徴で、5年以内に50%、20年以内に 80%が再発するというデータもある。だからこそ、腎尿管結石にならないよ うに予防が重要だ。
発症や再発の予防には食生活の見直しが肝要。まずは、脂肪や糖分、塩分 を多く含む食事を避けたい。また、結石の原因の1つである尿酸値が高くな るのを抑えるため、肉や魚の内臓などプリン体を多く含む食材を控えてほし い。一方、結石の原因となるシュウ酸の吸収を抑える作用があるカルシウム を積極的に取るといい。
アルコールの過剰摂取も尿酸を作りやすくする。特にビールにはプリン体 が多いので、これからの季節は飲み過ぎに注意が必要だ。私自身も何度か腎 尿管結石を発症したが、プリン体が少ない低カロリータイプのビールに替え るなど食生活を改善した結果、再発しなくなった。汗を大量にかく夏場に は、アルコール以外の水分をたっぷり取るよう心がけてほしい。
腎尿管結石になってしまっても、結石の直径が10mm未満の小さいもの であれば、水分を十分に取り、運動をすることで自然に結石が排泄されるの を待つケースが多い。一方、10mm以上の結石や、途中で詰まり腎機能が 働かない場合、痛みがひどいケースでは、結石を取り除く治療を行う。
大きく分けると、内視鏡で結石を摘出する治療と、体外衝撃波腎結石破砕 治療がある。後者は、体外で発生させた衝撃波を結石部分に収束させて破砕 し、尿中に自然排泄させる方法。体を傷つけることなく、半日で治療できる ため、現在では大きな結石の治療の主流になっている。
(談話まとめ:武田京子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2007/04/23号、関根英明=帝京大学医学部附属溝口病院 泌尿器科教授]

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