【“危険な商品”への自己防衛策】

健康食品の安全性が揺らいでいる。先日は、40代の女性がスギ花粉対策 の健康食品を摂取した後、テニスの最中に一時意識不明となった。過去には リラックス効果をうたった「カバ」など、死亡事例も多い。だがここで、「健 康食品は危ない!」と一括りにしては見誤る。なぜ起きたかを考えると、い くつかの自己防衛策が見えてくる。
1つは、医薬品の添加だ。その効果を際立たせるために、例えば痩身を狙 った商品にセンナ葉を、強精をうたう商品にシルデナフィルを、故意に添加 する。薬品を不適切に摂取すれば、体に不具合が生じるのは当然だ。しか し、この不法行為を見つけるのは至難の業。事故が起こってからでないと発 覚しない。ならば「劇的に痩せる」「食べても痩せる」といったか“魔法”のよう なうたい文句を、まずは疑うことだ。
2つ目に、食経験のないものへの安易な対応がある。例えばカバは、その 肝毒性から医薬品として扱われる。もともと普通の食材ではなく薬効のある ハーブなので、誰が、いつ、どれだけ飲むかを無視していいものではない。 特に健康食品は成分が濃縮されている場合が多く、意識せずに過剰摂取は起 こる。「この世に毒でないものはない。あるものが毒になるか薬になるかどう かは、その量によって決まる」とは、毒性学の祖パラケルススの言葉だ。
3つ目に、正しい知識の欠如がある。例えばアレルゲンを摂取した後、数時 間以内に運動をすると食物依存性運動誘発アナフイラキシーが起こる危険性 を知っていたら、かの女性はテニスをしただろうか。無知は危険を招く。

[出典:日経ビジネス、2007/03/19号、後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事]

戻る