【”的確な誤読”をさせる健康情報】
「納豆ダイエット」が世の中を騒がせている。テレビ番組「発掘!あるあ
る大事典U」で放送された内容に、データの捏造があったというものだ。
それにもかかわらず、いまだに納豆の陳列棚に”売り切れ御免”の札を掲
げる店があったり、この機を逃すものかと納豆サプリメントで攻勢をかける
店もある。今に始まったことではないが、巷の健康情報の質を低下させてい
る要因は、取りも直さず、私たち消費者の情報リテラシー(活用能力)の低さ
にあるのではないか。
1つは、「有名」であることへの弱みだ。名の知れたタレント、専門家、企
業が言うことなら信用してよい、と思ってしまう。有名人のお墨付きや大々
的な宣伝、有名な会社だから、ということが信用のバロメーターになる。
2つ目は、「科学的根拠」という言葉への弱み。科学はその解釈をよく変更
するし、こちらの求め方によって答えも異なる。特に食品は複合的な要素を
持つので、都合のよい切り口で「科学的データ」を用いれば、納豆もチョコ
レートもコエンザイムQ10もダイエット向けとなる。もちろん捏造や改ざ
んは論外だが、残念ながら存在する。
3つ目に、「冠言葉」への思い込み。天然、自然、植物性、無添加、アルカ
リ性といった言葉に暗示をかけられてはいないか。これらを巧みに用いたイ
メージ戦略で、消費者に“的確な誤読”をさせている例は少なくない。
果たして、私たちは常に見せかけの情報から口に入れるものを選択してい
ないか。その中身を知るために、まずは問いただすことから始めたい。
[出典:日経ビジネス、2007/02/19号、後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事]
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