【未破裂脳動脈癖の治療の目安】

未破裂脳動脈癌とは、脳の血管にできる「こぶ」のこと。血管が通常よりも破れやすく、くも膜下出血の原因になる病気だ。くも膜下出血では発症者全体の約5割が死亡し、助かっても麻痺などの後遺症が残ってしまうことも多い。
動脈癌は日本人の成人人口の約6%が持っていると考えられており、通常は症状がないが、脳ドックが一般的になったことで、破裂する前に発見される機会が増えている。CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)が高度化したことで、今ではこぶの最大径が2〜3mmといったごく小さな動脈癖も発見されるようになっている。
動脈痛は、大きさや形によって破裂のしやすさが異なる。一般的にこぶが大きくなるほど破裂する可能性は高まるとされており、最大径が5mm以上では年0.8〜1.8%の確率で破裂すると考えられている。
治療に伴うリスクと日本人の平均寿命とを考え合わせると、最大径が5mm程度より大きく、年齢が70歳未満の場合は治療を考慮すべきだ。特に動脈癖の大きさが大きくなると破裂のリスクも高くなるため、手術を受けた方がいい。
ただし、25mmを超える大きさのこぶでも場所によっては破裂しない一方、5mm未満でも血管が薄い部位や形がいびつな場合には破裂する可能性が高い。くも股下出血で倒れた家族がいる場合も破裂する可能性が高まるという論文もあり、動脈瘤の大きさと関係なく、治療を行うかどうかは医師によっても判断が異なる。治療前にはセカンドオピニオン(別の医師の意見)を求めた方がよいだろう。
未破裂動脈癖の治療法には、こぶの根元部分を小さなクリップでつまんでしまうクリッピング術や、コイルを利用してこぶを埋める血管内手術がある。頭を開いて手術するクリッピング術と比較して、足から管を差し込む血管内手術は短い入院で済む一方、その 有効性については、まだデータが集められている最中という状況だ。
どちらの治療法も日本の脳外科では術式が確立されているため、必ずしも症例数が多い医療機関でなくても、治療成績に大きな差はない。
治療しない場合は、半年から1年ごとにCTやMRI、脳血管撮影などで、動脈癌の大きさを確認していく。再検査で大きさに変化が見られなければ、治療を行う必要はない。また、動脈癌が一度の検査で発見されなかった場合には、3年以内に再検査を受ける必要はない。
ただし、動脈癖が小さく、経過観察を行うことになった場合でも、生活習慣を変えていくよう心がけたい。喫煙や高血圧症は、動脈癖が破裂するリスクを高める。喫煙の本数や血圧のコントロールには気を配るべきだろう。(談話まとめ:山崎大作=日経メディカル編集)

[出典:日経ビジネス、2007/02/05号、端和夫=札幌医科大学名誉教授]

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