【呼吸を意識し、ストレスを解消】

1948年、中国で第一線の女流画家として活躍していた郭林(かくりん)は、子宮ガンに侵されていることを知った。40歳の時である。その後、6回の手術により、子宮の全部と膀胱の一部を摘出したが、既にガンは全身に転移していた。回復の見込みはなかったという。
郭林はガンと闘った。祖父から手ほどきを受けていた気功を基礎にして、新しい気功法(郭林新気功)を開発した。現代医学から見捨てられた郭林は、そうして自分の命を救った。その驚異的な効果が中国全土に知れ渡り、郭林新気功のブームが起きた。75歳で生涯を閉じるまで、郭林は自らのガンに挑みながら、新気功を指導し、8000人に教えた。
郭林新気功は歩く気功だ。特徴は風呼吸と呼ばれる呼吸法にある。「シー、シー」と鼻から息を2回吸って、「ホー」と鼻から1回息を吐く。この呼吸を歩きながら意識的に繰り返す。歩く動作と組み合わせると、雑念が取り払われて、前向きの考え方ができるようになる。これが病気を治す力となる。
体が病気になっても、心まで病気になってはいけないのだ。実際、前向きな明るい心でいると、免疫力が高まり、病気が治りやすくなる。
日本でも白隠禅師(1685〜1768年)が内観で行う呼吸法(腹式呼吸)で、難治の病を克服した。普段私たちは無意識に呼吸をしている。その呼吸法を時々意識的に行ってみよう。特にストレスが強い時に意識的に呼吸してみると、心が安らいでくる。呼吸に意識を向けると、とらわれていた心が自由になり、難局を乗り越える勇気が湧いてくる。

(出典:日経ビジネス、2003/08/18号、堀田宗路=医学ジャーナリスト)

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