【腹を鍛える「へそのぞき」】

漢方ではどんな病気でも腹を診る。これを腹診と言う。腹診は日本で独自に発達した。漢方は中国医学を源としているが、中国で普及したのは脈を診る脈診である。西洋医学でも腹部を診るが、臓器の形状や腫瘍などを触診することを目的としている。漢方では主に腹壁の緊張度・弾力性を診る。
なぜ漢方では腹にこだわるのか。万病の根が腹にあると考えるからだ。徳川時代の名医、曲直瀬玄朔(まなせげんさく)は「腹は生あるのもと、百病ここに根ざす」と指摘した。例えば、腹診で腹全体が軟弱で、緊張力がなく、みぞおちを軽く叩くと水のような音がする人は、たいてい内臓下垂があると診る。こういう人は体力・活力が衰え、腹の筋肉の緊張力もない。そのため、胃や腸などの臓器が下がって内蔵下垂が起きてくる。
内臓下垂は現代医学では病気とはみなされていない。だが、本来あるべき位置からずれて肝臓、胃、腸、腎臓などが下垂した場合、その働きは低下して、体には様々な症状が表れる。実際、内臓下垂の人は肩こり、腰痛、頭痛、疲労、倦怠感、便秘、下痢、不眠など、ありとあらゆる症状を訴えやすい。まさに百病が生じるのだ。
現代人には内臓下垂が多い。そこで是非試したいのが「へそのぞき」体操だ。仰向けに寝て、両膝を軽く立てる。そして、両手を頭の後で組んで、息を吐きながらおなかをへこませ、ゆっくりと軽く頭を起こしてへそを見る。次に息を吸って、頭を床につける。これを10回繰り返す。慣れてきたら、回数を増やす。朝晩行っていると、腹に力がつき、体が見違えるほど元気になる。

(出典:日経ビジネス、2003/07/14号、堀田宗路=医学ジャーナリスト)

戻る