【風邪によく効く「奇方」】

「奇方」と呼ばれる薬方がある。これは一般の漢方薬にあるような、いわゆる「何々湯」「何々散」といった正式な処方ではない。どちらかというと民間薬的な使い方である。
「奇」とは、珍しい、不思議なという意味だ。実際、「奇方」とは珍しい処方である。たとえば中国の漢方の古典『千金方』には、高所から落ちて仮死状態になった人には、口を割って小便を飲ますとたちまち蘇生するとある。
ここまで変わっていると、「奇方」も簡単には使えない。そこで、もっと日常的な風邪によく効く「奇方」を紹介してみよう。
まずインフルエンザに効く梅干の黒焼。これは火鉢の湯灰に梅干を埋めておき、種子まで黒く焼いたものだ。火鉢代わりにフライパンに数個の梅干を載せ、適当な茶碗でふたをして、小さなガス火で加熱すると、程よく炭化した黒焼きができる。梅干の成分がタール状になり、炭に吸着するように火加減するのがコツ。できたら、1〜2個を湯飲みに入れて箸でかき回し、湯温200ccを加えて、その上澄み液を一気に飲む。
咳の出る風邪には、ナンテンが効く。赤く熱した果実5〜6個を水200ccを入れ、弱火で100ccになるまで煎じる。これを1日3回に分けて服用する。
引き始めの風邪には、ニンニクがいい。くしゃみ、鼻風邪、寒気の段階で、1かけらのニンニクをすり下ろして、熱い味噌汁、スープ、うどん、蕎麦などの中に入れ、フウフウ吹きながら飲む。あるいは熱い酒に入れて飲んでもいい。このあと、すぐ布団に入って汗をかけば風邪が抜ける。

(出典:日経ビジネス、2000/01/08号:堀田宗路=医学ジャーナリスト)

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