【寒い晩によく効く樟脳湿布】

樟脳は、近年は虫除けとしてしか知られていないが、昔は幅広い用途があった。貴重品として塩やたばこのように専売品に指定されていたほどだ。
火薬やフィルムの材料のほか、医療面ではカンフル注射として強心剤に用いられていた。ちなみにカンフルは樟脳の別名だ。血行促進、消炎、鎮痛などの作用もあり、外用薬として湿布や軟膏に使われていた。
樟脳は、楠の原木を蒸して結晶を取ったものである。これを利用して、昔ながらの樟脳湿布をしてみるといいだろう。腰痛や肩こりに抜群によく効くし、風や不眠にもいい。
薬局・薬店で売っている市販の樟脳は、大きめのボタンくらいの塊になっている。1、2個布にくるみ、金槌でたたいて粒状になるまで砕く。それを洗面器などに入れ、60度以上の湯を湯飲みに1、2杯程度入れる。
よくかき混ぜ、ヤケドをしない程度まで冷やしたら布を浸す。布はガーゼ、ネル、タオルなど、肌触りのいいものなら何でもいい。
浸した布をよく絞り、風邪の時には胸と背中に当て、その上からビニールやラップ、または厚手の乾いた布をかぶせ、伴創膏で固定する。30分ほど湿布を行なうと、咳のよく出る風邪なら咳も静まって呼吸が楽になる。肩こりや腰痛だったら、肩や腰に当てると気持ちがよくなり症状がその場で取れてくる。
樟脳湿布は寒い晩にはとりわけよく効く。ただし、はだが過敏で、湿布をしているとピリピリしたり、かゆみを覚えたりするようならやめたほうがいい。

(出典:日経ビジネス、2001/11/26号、堀田宗路=医学ジャーナリスト)

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