【徒然草の教える健康法】

「友とするにわろき者七つあり。一はやんごとなき人。二は若き人。三つには病なく身強き人、四つには酒を好む人、五つには猛く勇める兵、六つには虚言する人、七つには欲深き人。よき友三つあり。一つには物くるる友、二には医師、三つには知恵ある友」
鎌倉末期に生きた歌人・吉田兼好、徒然草でユーモラスにこう述べている。この一文から、兼好は病弱ではなかったのかと見られている。それも現代で言う自律神経失調症のような、半病人のイメージが強い。中でも興味深いのは、「思しきこと言わざれば腹膨るるわざ」という兼好の記述が、医学的にも注目を集めていることだ。
言いたいことを言わないでいると、つまりストレスをため込んでいると、腹部膨満感を訴えるようになる、と言っているのだ。最近わかってきた「ディスペプシア」という病気がそれである。この病気は胃に病気がないにもかかわらず、胃の痛みや重だるさ、腹部膨満感、食欲不振ななどを訴える。だが従来は原因が見つからなかったために、「気のせい」あるいは「慢性胃炎」などと言われ、ほとんど治療らしい治療を受けていない人が多かった。
ところが、診断技術の進歩で、胃と脳とは密接な関係があり、精神的なストレスがそのまま胃に反映して、不快な症状を訴えることが判明した。この病気は胃の機能を高める薬とともに、ストレスを処理することができるようになると症状が治まる。我慢ばかりしてストレスをため込んでいると、ディスペプシアになってしまう。兼好のようなインテリはなおさらだ。

(出典:日経ビジネス、2001/12/17号、堀田宗路=医学ジャーナリスト)

参考:
ディスペプシアに興味のある方は、下記アドレスにもアクセスしてみてください。
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0516ien.html

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