【長寿の秘訣はふくらはぎにあり】

千社札を始めたのは天愚孔平だという。寺や神社のとんでもない高いところに張ってある小さな札のことだ。天愚の本名は萩野、名は喜内といい、出雲(現島根県)は松江の藩主・松平家に仕えていた。江戸の奇人としても有名で、彼が歩いていると「天愚だ、天愚だ」と子供達が飛び出してきた。
その長寿にも驚かされる。天愚は宝永4(1707)年に生まれ、分化14(1817)年に死んだ。110歳まで生きたというのだ。
天愚は宝井馬琴に長寿のコツを語っている。それによると、女性を近づけぬこと、入浴しないことだという。天愚はほとんど入浴せず、鼻が曲がるような異臭を放っていたので、女は天愚が来ると逃げ去った。
もちろん、こんな健康法はいただけない。天愚のように長寿を目指すなら、ふくらはぎのマッサージをお勧めしたい。ふくらはぎが発達しているのは人間だけ。歩くたびにその筋肉が収縮・弛緩を繰り返し、静脈血を心臓へと押し返す。第2の心臓として機能し、全身の血流をよくしている。だから、ふくらはぎが硬くなると血の巡りが悪くなり、血圧は上がり、動脈硬化は進み、細胞1個1個の元気がなくなる。
全身を若返らせて、年を取っても生き生きと暮らすには、ふくらはぎを適度に揉んでおくことだ。やり方は簡単。まずふくらはぎを全体になでてみる。次に軽く押してみよう。押しているうちに硬くなっているところや痛いところがあったら、やさしく揉みほぐす。揉むとかなり痛い人もいるかもしれない。あまり痛くしてはいけない。全部で10分も揉めば十分だ。

(出典:日経ビジネス、2002/12/23・30号、堀田宗路=医学ジャーナリスト)

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