【「創作四字熟語」】
この世は有為転変、常に激しく変化するとは言うものの、これほどの異常が続くとは。まさに「雨威天変」(ういてんぺん)の豪雨や台風に襲われた。地震が大停電をもた らした北海道にとっては、疑心暗鬼ならぬ「地震暗来」(じしんあんき)。住友生命が募った創作四字熟語で1年を振り返る
▼災害級の暑さに対策を、と何度聞いたことか。「対処猛暑」(たいしょもうしょ)は温暖化対策など大所高所からも考えたい。ボランティアの尾畠春夫さんが、暗中模索に陥った迷子捜しを解決。「山中子索」(さんちゅうこさく)のお手柄だった
▼こちらは迷子ではなく逃げる方。刑務所や警察署から脱走し、東奔西走ならぬ「逃奔世騒」(とうほんせいそう)の男たちが相次いだ。世を一騒がせたのはスポーツ界のパワハラも同じ。自然の気圧配置はどうにもならぬが「威圧廃止」(いあつはいし)徹底して欲しい
▼「朝米歩会」(ちょうべいぼかい)と歩み寄っだのは米国と北朝鮮の一首脳。非核化へ向けた約束が朝令暮改にならないように。タイの洞窟からの救出を世界が祈っだ。「一心洞泰」(いっしんどうたい)で危機を乗り越えた
▼全米を驚かせた力と技である。大坂なおみ選手がサーブを武器に全米オープンを制した「全米庭覇」(ぜんべいていは)。「一投両打」(いっとうりょうだ)の大谷翔平選手は投げて打って一刀両断のごとく新人王を獲得した
▼熟語の応募は11月初めまで。その後の出来事で小欄も考えた。沖縄県知事選の民意
に政権が暴風を吹かせる。「疾風土投」(しっぷうどとう)で土砂投入が強行された。日産トップが一突然逮捕された事件は、社内クーデター説も含め分がらぬことが多すぎる。「車怪問題」(しゃかいもんだい)は、来年も尾を引くか。
(出典:朝日新聞「天声人語」欄、2018/12/18)
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