【赤犬のシッポ】

十一番目の登場は『犬』です。
「犬」という字は、犬偏またはけもの偏ともいわれ、古代から犬は獣の 代表と考えられていました。
「犬」の入った漢字はあまり多くはありません。
例えば、状況の「状」、猛獣(猛の偏をけもの偏といいます)の「獣」、 監獄の「獄」、推奨の「奨」、貢献の「献」、山伏(やまぶし)の「伏」 が挙げられますが、そのほかはあまり見かけることはありません。
犬のつくものと聞かれれば、『南総里見八犬伝』を思い浮かべます。
作者は「滝沢馬琴」と教わったと記憶していましたが、本名とペンネームを まぜこぜにしたもののようです。
本名は「瀧澤(滝沢)興邦」(1767年〜1848年)、ペンネームは 「曲亭(きょくてい)馬琴」が正しい表記のようです。
蛇足ですが、この本は江戸時代後期の読本(よみほん。文字を中心とした 「読ませる」小説。稗史(はいし)ともいう)の第一人者で、江戸時代最大の文豪 といわれております。代表作「南総里見八犬伝」は1814年(四十八歳) から 1842年(七十六歳)まで28年かかって書かれた壮大な伝奇物語です。 また、九十八巻百六冊という日本古典文学では最長の作品でもあります。 連載途中に失明し息子の嫁のお路(おみち)に口述筆記させて完結させたということです。

むかし、ある落語家が高座で「赤犬のシッポだ」と駄洒落を言ってましたが、わかりますか。 答えは最後に。

まず、慣用句を挙げてみます。

【犬が西向きゃ尾は東】(当たり前のこと、当然のことのたとえ)
【犬に論語】(どのように説いて聞かせても無駄なことのたとえ。=【馬の耳に念仏】)
【犬の川端歩き】(どんなに歩きまわっても何の収穫もないこと、また金銭を所持しないで 店頭をぶらつくことのたとえ)
【犬の糞(くそ)】(きたないもの、軽蔑すべきもの、ありふれた物のたとえ)
【犬の糞で敵(かたき)を討つ】(卑劣な手段で復讐することのたとえ)
【犬の遠吠(とおぼ)え】(臆病者が陰で空威張りをしたり、他人を非難したりすることのたとえ)
【犬も歩けば棒に当たる】(物事をしようとしている者は思いがけない災難にあうものだというたとえ。 また、思いがけない幸運にあうことのたとえ)
【犬も食わない】(何でも食う犬でさえ食わない。誰も好かない。誰もとり合わない)
【犬も朋輩(ほうばい)鷹(たか)も朋輩】(同じ主人に仕えていれば、身分に違いはあっても、 朋輩であることには変わりないことのたとえ)
【犬骨折って鷹の餌食になる】(労して獲た獲物を他人に奪われることをいう)
【犬は人に付き猫は家に付く】(犬は家人になつき、引っ越しにもついて行くが、猫は人よりも家の建物・場所になじむ)
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四字熟語を挙げてみます。

(犬牙のように入り交じること)
(才能のない生まれつき)
(骨折ること)
(犬馬がいたずらに歳をとるように、なすことなく歳をとること)
(親に衣食を与えるだけで敬意のない孝養をいう)

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四字熟語の読みは、順番に「ケンガサクソウ」、「ケンヨウノシツ」、「ケンバノロウ」、 「ケンバノヨワイ」、「ケンバノヤシナイ」です。
「赤犬のシッポ」=尾も白くない=面白くない(お粗末でした)。


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