【蛇は虫ではないが】

六番目の登場は『蛇』です。
少し横道に逸れます。虫(むしへん、むし)部に属する漢字は1500字くらいあり、 「蛇」はその中の一字です。
ひとつの部首に所属する漢字の数では、たいへん多い部類に入ります。
「虫」という漢字は常用漢字で、字体は略字です。本来の漢字は「蟲」と書きます。
ひごろ目にする虫偏の字はほんの一部です。少し挙げてみます。

【虹】にじ
【蜂】はち
【蜜】みつ
【蛍】ほたる
【蚕】かいこ
【蟻】あり
【蚊】か
【蝿】はえ
【蚤】のみ
【虱】しらみ
【蛙】かえる
【蝮】まむし
【蛸】たこ
【蛤】はまぐり
【蟹】かに


さて、身近で「蛇」のつく言葉といえば、水道の「蛇口」くらいでしょうか。 あまり思い出せません。
今は「蛇の目傘」とか「蛇腹(じゃばら)」という言葉もきかなくなりました。
ひと昔まえ、「蛇頭(じゃとう)」という言葉が盛んに使われました。 日本の暴力団に相当するとか、しないとか・・・・。
その実体は、中国から日本や米国等の外国への密入国をビジネスとして行う 密航請負組織をいいます。
世界的な規模で広がる人的なネットワークを基盤として、密航者の勧誘・ 引率・搬送、偽造旅券の調達、不法就労のあっせん等を行っており、 欧米では「スネークヘッド」と呼ばれています。

それでは、「蛇」がつく慣用句を挙げてみましょう。

【蛇が蚊を呑んだよう】(あまりに少量で、腹の足しにならないこと)
【蛇の道は蛇(へび)】(同類の者のする事柄は、同類の者には容易に分かるということ)
【蛇は一寸にして人を呑む】(蛇は一寸ほどのときから人を呑む勢いを示す。 才あるものは幼少の頃からその片鱗を示す。栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し)
【蛇の目を灰汁(あく)で洗ろうたよう】(眼光のきわめて鋭いこと。物事を明白にするさま)
【蛇に見込まれた蛙(かえる)】(恐ろしさに身がすくんで動けないさま。 また、大敵にねらわれて、抵抗できないこと)
【蛇の生殺(なまごろ)し】(一思いに殺さず、半死半生にして苦しめること 物事の決着をつけずにおいて苦しめることのたとえ)

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「蛇」にはあまり挙げるべき言葉がありません。虫偏の最後に挙げた「蟹」に関連する 言葉を挙げておきます。これこそ言い得て妙です。

【蟹行文字】カイコウモンジ(=横文字。欧米の文字)


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